ゾヌリン系10

http://physrev.physiology.org/content/91/1/151.long#sec-8

III-E. Zonulin Signaling
ゾヌリンシグナル(信号伝達)




Structural analysis of zonulin revealed similarities with several growth factors.
ゾヌリンの構造研究により、いくつかの成長因子との類似性が明らかになった。

Like zonulin, growth factors affect intercellular TJ integrity (83, 78).
ゾヌリンと同じように、成長因子は細胞間タイトジャンクションに影響を与える。

Our data showing that zonulin but not its cleaved subunits activate EGF receptor (EGFR) (159) and that its effect on TEER was prevented by the EGFR tyrosine kinase inhibitor AG-1478 (159) suggest that zonulin is properly folded to activate EGFR and, therefore, to cause TJ disassembly only in its uncleaved form.
ゾヌリン(開裂したサブユニットではなく)は、上皮成長因子(EGF)受容体(EGFR)を活性化させ、ゾヌリンのTEERへの効果はEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(AG-1478)によって阻害される。
以上のような我々のデータによれば、適切にたたまれた(開裂されていない形態の)ゾヌリンは、EGFRを活性化し、ゆえに、タイトジャンクションの分解を引き起こすと考えられる。

※EGF(epidermal growth factor): 上皮成長因子。分子量は約6000。アミノ酸残基数はマウス、ヒト、どちらも53。上皮細胞や繊維芽細胞を増殖させるほか、胃酸分泌を抑制するなど多くの機能をもつ

※EGFR: チロシンキナーゼ活性を持つレセプター

Several G protein-coupled receptors (GPCR), including PAR2, transactivate EGFR (164).
ところで、いくつかのGタンパク質共役型受容体(GPCR)、たとえばPAR2は、EGFRをトランス活性化する。

※GPCR: 代謝型受容体。PAR2以外にもアドレナリン作動性受容体やムスカリン性アセチルコリン受容体などがある

※PAR(protease-activated receptor): 細胞外の一部がプロテアーゼにより限定分解される(cleaved)ことで活性化する細胞膜貫通型の受容体。PAR-1からPAR-4までの4種類があり、様々な細胞に発現して血液凝固や炎症を引き起こす

※transactivate: 遺伝子を、cis(発現する遺伝子と「同じ側」つまりエンハンサーやプロモーター)ではなく、trans(外部の「向こう側」つまり核の外側からの遺伝子産物)に、活性化すること

Zonulin prokaryotic counterpart Zot active peptide FCIGRL (AT1002) has structural similarities with PAR2-activating peptide (AP), SLIGRL, and causes PAR2-dependent changes in TEER (31), a finding that we have demonstrated in wild-type (WT) but not PAR2-/- mice.
ゾヌリンの原核生物同等物であるZotに含まれる有効ペプチドFCIGRL(AT1002)は、PAR2活性化ペプチド(AP)のSLIGRLと構造的な類似性があり、PAR2依存的なTEERの変化を引き起こす。
野生型(WT)とPAR2ノックアウトマウス(PAR2-/-)で我々が実証してきた発見である。

(つまり、Zot(FCIGRL)/PAR2AP(SLIGRL)→PAR2→EGFR→TEER↓なので、Zot相同ゾヌリン→PAR2→EGFR→TEER↓だろうという推測)

※active: 活力のある、有効な、効力[作用]のある(e.g. active ingredients「有効成分」)

※FCIGRL: フェニルアラニン、システイン、イソロイシン、グリシン、アルギニン、ロイシン

※SLIGRL: セリン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、アルギニン、ロイシン

※AT1002: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20852064

Therefore, it was not totally unexpected that experiments in Caco2 cells in which PAR2 was silenced showed decreased EGFR Y1068 phosphorylation in response to recombinant zonulin compatible with PAR2-dependent transactivation of EGFR (159).
ゆえに、PAR2が遺伝子サイレンシングによって発現が抑制されたCaco-2細胞の実験において、PAR2依存的なEGFRトランス活性化とコンパチブルな組み換えゾヌリン応答で、EGFRのチロシン1068のリン酸化が減少したことは、全く意外ではなかった。

※compatible: 互換性のある

To further establish a role for PAR2 in EGFR activation in response to zonulin, we conducted small intestinal barrier function studies using segments isolated from either C57BL/6 WT or PAR2-/- mice.
ゾヌリンへの応答でEGFRが活性化する際のPAR2の役割をさらに立証するため、我々は小腸のバリア機能についてC57BL/6系の野生型あるいはPAR2ノックアウトマウスから分離した区分を使い、研究を実施した。

※isolate: 物質を単離する、菌を分離する

※segment: 区分、切片

As expected, zonulin decreased TEER in intestinal segments from C57BL/6 WT mice, while it failed to reduce TEER in small intestinal segments from PAR2-/- mice (159), so linking zonulin-induced PAR2-dependent transactivation of EGFR with barrier function modulation.
予測通り、ゾヌリンはC57BL/6野生型マウスからの小腸の区分において経上皮電気抵抗(TEER)を減少させたが、一方PAR2ノックアウトマウスからのそれでは減少しなかった。
それは、ゾヌリンにより誘導されるPAR2依存的なEGFR活性化と、バリア機能の調節を、関連づけるものであった。

To summarize, we have reported for the first time the novel characterization of zonulin as pre-HP2, a multifunctional protein that, in its intact single-chain form, regulates intestinal permeability caused by EGFR transactivation through PAR2, while in its cleaved two-chain form acts as a Hb scavenger (Fig. 6).
要約する。
我々は、プレハプトグロビン2でもあるゾヌリンの全く目新しい特徴について初めて報告した。
多機能なタンパク質であり、元のままの一本鎖の形態において、PAR2によるEGFRのトランス活性化によって引き起こされる腸の透過性を調節する一方、開裂した二本鎖の形態においては、ヘモグロビンのスカベンジャーとして機能する(Fig.6参照)。

Interestingly, it has been recently reported that gliadin, the environmental trigger of CD, fully reproduces the effects of EGF on actin cytoskeleton (11), effects that are very similar to those we reported for zonulin (35, 53, 172).
興味深いことに、最近の報告ではセリアック病の環境的誘因であるグリアジンが、アクチン細胞骨格へのEGFの影響を、完全に再現するという。
これは我々のゾヌリンについての報告と非常に似ている。

Since gliadin induces zonulin release from both intestinal cells (35, 53) and whole intestinal tissues (50, 53, 157, 172) through CXCR3 binding (92), it is likely that the gliadin-related EGF effects are indeed secondary to its capability to induce zonulin release.
グリアジンはCXCR3受容体との結合により腸細胞と全ての腸組織からゾヌリンの放出を誘発するが、グリアジンに関連したEGF~EGFRへの影響は、まさにそのゾヌリンを放出させる能力の二次的なものとして起こるようである。


Fig. 6.
Proposed mechanisms through which zonulin activates EGFR.
ゾヌリンがEGFRを活性化する経路について提案されているメカニズム

Zonulin can activate EGFR through direct binding (1) and/or through PAR2 transactivation (2).
ゾヌリンはEGFRを直接に活性化するか(1)、PAR2トランス活性化により活性化する(2)。

This second mechanism can be mediated by either Src signaling (2a) or by the release of MMPs and/or ADAMS that in turn will activate Pro-HB-EGF.
(2)のメカニズムは、Srcシグナルを介するか(2a)、または、MMPsかADAMSを解放しPro-HP-EGFを活性させることによる(2b)。

※Src(サーク): 非受容体型チロシンキナーゼ。ATPからチロシン残基ヒドロキシル基へのリン酸基転移を触媒する。EGFRは受容体型チロシンキナーゼ。細胞質型チロシンキナーゼには、JAK、ZAP70などがある

※MMP(matrix metalloproteinase): マトリックスメタロプロテアーゼ。活性中心付近のヒスチジン残基とグルタミン酸残基によって亜鉛イオンが固定化されているタンパク質分解酵素

※ADAMS(a disintegrin and metalloproteinase): メタロプロテアーゼドメインとディスインテグリンドメインを持つタンパク質分解酵素

※proHB-EGF(pro Heparin-binding epidermal growth factor-like growth factor): 膜結合型タンパク質で、細胞外にEGF様ドメインを持つ。プロテアーゼにより限定分解されると分泌型HB-EGFを生じ、EGFRに結合する。ジフテリア毒素の受容体でもある

Processing of zonulin into its two-chain mature form, for example, via proteolytic cleavage by intestinal tryptase IV, induces conformational changes in the molecule that abolish its ability to bind to EGFR (3), but instead enables a different function (e.g., Hb binding), and it becomes an inflammatory marker.
ゾヌリンが二本鎖の成熟した形態へプロセシング(たとえば腸粘膜のトリプターゼIVによる限定分解)されると、分子に形態的な変化が誘導され、そのEGFRへの結合能力は無効化する。
しかし代わりに、(ヘモグロビンへの結合のような)異なる機能を使用可能にして、炎症のマーカーにもなる。

※e.g.(exempli gratia): 例えば。for example
[PR]

by travelair4000ext | 2012-10-31 23:15 | 翻訳  

<< ゾヌリン系11 ゾヌリン系09 >>