ゾヌリン系12

http://physrev.physiology.org/content/91/1/151.long#sec-10

III-G. Zonulin and Immunoglobulins Have a Common Ancestor But Are Distinct Molecules
ゾヌリンと免疫グロブリンは共通の起源を持つが、異なる分子である




Our previously reported zonulin NH2-terminal amino acid sequence showed striking similarities with the light chain of immunoglobulins (Ig) (172).
我々が以前(2000年)報告したように、ゾヌリンN末端のアミノ酸配列は、免疫グロブリン(Ig)軽鎖との著しい類似性を示す。

※light chain of immunoglobulins: 抗体は重鎖(heavy chain)2分子と軽鎖(light chain)2分子から構成されている

Similarities between the primary structures of HP and of Ig light chains have been previously reported (79).
ハプトグロビンと免疫グロブリン軽鎖の基本構造の類似性は、以前(1972年)に報告されていた。

※primary: (順位などが)第一位の、主要な、(複雑なものを組み立てている)構成要素的な、基本の、根本的な

They were supported by a common evolutionary origin (10) and by functional homologies, since both form complexes with specific proteins.
それらは根源的に共通の進化的起源と機能的な相同性を持ち、どちらも同じように特異的なタンパク質と複合体を構成する。

※support: ~を支える、~の土台となる

Clustal W dendogram analysis showed a region in the zonulin β-chain just upstream from the C163 binding site with the following Ig consensus motif: QLVE-V-P.
クラスタル(コマンドライン版)による系統樹の研究によれば、ゾヌリンβ鎖にあるCD163結合部位からすぐ上流の領域は、免疫グロブリンのコンセンサスモチーフ(QLVE-V-P)を伴っている。

※dendogram: dendrogram(系統樹)のことか

※C163: CD163の誤植か

※Clustal W: アラインメントや系統樹作成を実行するためのプログラム。アラインメントとは「複数の配列の中から共通部分を抽出して比較できるように整列させる」こと

※consensus motif: 共通モチーフ。motifは元々は繰り返される主題や図形を意味するが、ここでは「ヘリックス・ターン・ヘリックス」のように機能的な超二次構造を形成する配列を指す。consensus motifで「複数のドメインに共通して現れるモチーフ」

※Q(グルタミン)、L(ロイシン)、V(バリン)、E(グルタミン酸)、P(プロリン)

To confirm that zonulin and Ig are two distinct moieties, Western immunoblot analysis of whole serum, serum depleted of immunoglobulin, and serum immunoglobulin fraction from subjects either positive or negative to zonulin ELISA was performed.
ゾヌリンと免疫グロブリンが異なる分子であることを確かめるため、ウエスタンブロット法を実施した。
対象は、全血清、免疫グロブリン画分を除いた血清、そして免疫グロブリン画分の血清であり、これらはELISA法によりゾヌリンが陽性か陰性かを確認した患者からのものだ。

※subject: 題材、実験材料、被験者、患者

※ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay): 酵素結合免疫吸着法。抗体の結合によりタンパク質を検出する方法

※Western immunoblot: ウエスタンブロット法。SDS(SLS,ラウリル硫酸ナトリウム)とメルカプトエタノールなどの還元剤によりタンパク質の高次構造を破壊した後で、電気泳動を行い、特殊な膜に写し取ってから、特異的な標識抗体で検出する。immunoは免疫系(immune system)の抗体を検出に使用することから。blotは「よごれをふき取る、吸い取り紙などで吸い取る」の意

The whole serum from a zonulin-negative subject showed the expected single α1-subunit (HP1-1 homozygous), while the whole serum from a zonulin-positive subject showed the expected single α2-subunit (HP2-2 homozygous).
ゾヌリン陰性患者の全血清には、予想通り単一のα1サブユニット(ハプトグロビン1-1ホモ接合体の)が見られた一方、
ゾヌリン陽性患者の全血清には、予想した通り単一のα2サブユニット(ハプトグロビン2-2ホモ接合体の)が現れた。

Sera depleted of albumin (Fig. 9, lanes 1 and 4) or albumin + Ig (Fig. 9, lanes 3 and 6) retained the immunoreactive α-bands.
アルブミンを除去した血清(Fig.9、1列目と4列目)、またはアルブミンと免疫グロブリンを除去した血清(Fig.9、3列目と6列目)は、抗体に反応するαバンドを保っていた。

※血清に含まれるタンパク質は、大きくアルブミン(albumin)とグロブリン(globulin)に分けることができる。グロブリンはさらにα1、α2、β、γの4つの画分を持ち、ハプトグロビンはα2グロブリン画分、免疫グロブリンはγ画分である。つまりこの文の意味は「アルブミンと免疫グロブリンを除去しても、α2グロブリンのハプトグロビンα鎖は残っていた」ということ

The zonulin band was also visible at the expected 47-kDa size in the HP2-2 sera (Fig. 9).
ゾヌリンのバンドも、予想通りハプトグロビン2-2の血清内で47キロダルトンの位置に見ることができる(Fig.9参照)。

Conversely, the sera Ig fractions of both HP1-1 and HP2-2 sera showed no immunoreactivity (Fig. 9, lanes 2 and 5) and did not cause any changes in TEER when tested on mouse small intestine mounted in microsnapwell (A. Fasano, personal communication), confirming that zonulin and Ig are structurally related yet functionally distinct molecules.
反対に、ハプトグロビン1-1と2-2どちらの血清でも、免疫グロブリンの画分は(上記のような)免疫反応性を示さない(Fig.9、2列目と5列目)。
また、マイクロスナップウェル法によりマウスの小腸で試験しても経上皮電気抵抗(TEER)にどんな変化も引き起こさない(著者未発表データ)。
これらは、ゾヌリンと免疫グロブリンは構造的に関連しているが、機能的には異なる分子であることを立証するものである。

※personal communication: 私信、つまり未発表論文

※microsnapwell: 詳細は不明

If the differences between the reported zonulin sequence and the pre-HP2 sequence are due to intraspecies variability related to high zonulin mutation rate or to our sequence error remains to be established.
報告のあったゾヌリン配列とプレハプトグロビン2配列の間の違いは、ゾヌリンの高い変異性による種間での多様性のせいか、我々の配列決定の間違いのせいか。
それは確定されないままである。


Fig. 9.
Western blotting using zonulin cross-reacting anti-Zot polyclonal antibodies on ELISA zonulin-negative and zonulin-positive sera.
ELISAでゾヌリン陽性と陰性に分けられた血清上で、ゾヌリン交差反応性の抗Zotポリクローナル抗体を使用して、ウエスタンブロット法を実施

※polyclonal antibody: ポリクローナル抗体、動物に免疫して得られた血清に含まれる抗体。単一の腫瘍融合細胞を培養して得られるモノクローナル抗体とは異なり、複数のクローンB細胞による抗体なのでpoly-(ギリシャ語で「多」)と呼ぶ

Sera depleted of albumin (lanes 1 and 4) or albumin + Ig (lanes 3 and 6) from both a zonulin-negative subject (HP1-1 homozygous, lanes 1-3) and a zonulin-positive subject (HP2-2 homozygous, lanes 4-6) showed the expected single α1- and α2-subunits, respectively.
アルブミンを除去した血清(1列目と4列目)、アルブミンと免疫グロブリンを除去した血清(3列目と6列目)
ゾヌリン陰性の患者(ハプトグロビン1-1ホモ接合体の、1列目から3列目)、ゾヌリン陽性の患者(ハプトグロビン2-2ホモ接合体の、4列目から6列目)
予想通り、それぞれ単一のα1鎖とα2鎖が表れている

Conversely, the sera Ig fractions of both subjects (lanes 2 and 5) showed no immunoreactivity.
反対に、血清における免疫グロブリン画分(2列目と5列目)は、抗Zot抗体への交差反応を示さない。

The zonulin band was also visible at the expected 47-kDa size in the HP2-2 sera (arrow).
予想通り、ハプトグロビン2-2の血清にはゾヌリンのバンドが見られた。
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by travelair4000ext | 2012-11-07 00:17 | 翻訳  

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