ゾヌリン系19

http://physrev.physiology.org/content/91/1/151.long#sec-20

V-B-2. Multiple sclerosis
多発性硬化症




In addition to an increase in blood-brain barrier permeability (38, 120), multiple sclerosis (MS) patients may also experience an increased permeability of intestinal TJ.
多発性硬化症(MS)の患者では血液脳関門の透過性が上昇しているが、それに加えて腸タイトジャンクションの透過性も上昇しているかもしれない。

※Multiple sclerosis(MS): 多発性硬化症。中枢神経の軸索を覆い絶縁体の機能を果たすミエリン鞘を構成するタンパク質が自己免疫的に破壊され、神経伝導が低下する炎症性の脱髄疾患。視神経や脊髄、小脳などに複数の病巣が見られ、寛解と再発を繰り返しながら徐々に身体機能が低下していく。時間的空間的に多発することから多発性と呼ばれるが、日本では空間的に視神経と脊髄に病変が限局する場合が多い(視神経脊髄型)

※blood-brain barrier(BBB): 血液脳関門。多発性硬化症ではCD4+T細胞がBBBを越えて中枢神経系に浸潤する

Yacyshyn et al. (182) have demonstrated that 25% of MS patients studied had an increased intestinal permeability.
ヤシシンらは、研究対象であるMS患者の25%に腸管透過性の上昇が見られたことを明らかにした。

The fact that patients with MS (182) and Crohn's disease (183) both present an increased number of peripheral B cells exhibiting CD45RO, a marker of antigen exposure, further supports the concept of preexisting, genetically determined small intestinal permeability abnormalities with subsequent altered antigen exposure as a pathogenic factor common to these diseases.
MSとクローン氏病をどちらも患っている患者の末梢では、抗原曝露のマーカーであるCD45ROを示すB細胞が増加している。
この事実は、次のような考えをさらに支持する。
つまり、小腸の透過性は遺伝的に決定されているが、その透過性に異常が起こることで抗原への曝露に変調をきたし、これらの病気に共通する病原的な要因となっているのである。

※CD45: 細胞質にリン酸化チロシンフォスファターゼ(脱リン酸化)ドメインを持つ膜貫通型タンパク質。赤血球以外のすべての造血細胞に発現する。exon4(A)、5(B)、6(C)のうち、選択的スプライシングによりBCが欠けているのがRA(分子量220kDa)、ABC全て欠けているのがRO(分子量180kDa)であり、通常のB細胞には広くCD45RAが発現している

To challenge this hypothesis, we measured serum levels of zonulin in MS patients with different subtypes: relapsing-remitting (RRMS) versus secondary-progressive (SPMS) and activities to ascertain whether expression of zonulin into peripheral circulation can differentiate these two groups.
この仮説を検証するため、我々は異なるサブタイプのMSにおける血清ゾヌリン濃度を計測した。
サブタイプは再発寛解型MS(RRMS)と二次性進行型MS(SPMS)で、また疾患の活動性も計測した。
末梢循環へのゾヌリンの発現が、二つのグループに差異を生じさせるかどうかを確かめるためである。

※relapsing-remitting (RRMS): 再発寛解型MS。再発と寛解を繰り返す多発性硬化症。relapse「逆戻りする、病気をぶり返す」、lapse「転落する」。remit「送り返す、軽減する」

※secondary-progressive (SPMS): 二次性進行型MS。初期には再発と寛解を示すが、やがて慢性進行型の経過をとる

※primary-progressive (PPMS): 一次性進行型MS。再発や寛解がなく、発症時から慢性進行性の経過をとる

Serum from 44 patients with RRMS (30 in relapse and 14 in remission), 18 patients with SPMS, and 171 controls were studied.
44人のRRMS患者(30人が再発、14人が寛解)、18人のSPMS患者、そして171人の対照群からの血清を解析した。

The average age of MS patients was 35 years, and 65% of patients were female.
MS患者の平均年齢は35歳、患者の65%が女性であった。

All patients underwent neurological examination as well as brain MRI with contrast.
全ての患者が神経学的検査を受け、脳MRIと対比させた。

Approximately 29% of patients with either relapsing RRMS or SPMS had elevated serum zonulin levels (a percentage similar to increased intestinal permeability in MS patients reported by Yacyshyn et al., see Ref. 182), with overall average serum levels ~2.0-fold higher than in controls (Fig. 16).
再発中のRRMSやSPMS患者のおおよそ29%で、血清ゾヌリンレベルが上昇していた(この比率は、ヤシシンらの報告にあったMS患者での腸管透過性が上昇していた割合と同様である)。
患者全体での平均血清レベルは、対照群と比較して~2.0倍であった(Fig.16参照)。

Interestingly, patients with RRMS in remission showed serum zonulin levels comparable to controls (Fig. 16).
興味深いことに、寛解中のRRMS患者の血清ゾヌリンレベルは、対照群に匹敵するほどの低さを示した(Fig.16参照)。

Only in patients with RRMS were the highest levels of serum zonulin associated with the presence of gadolinium-enhancing lesions (A. Minagar and A. Fasano, personal communication).
そしてRRMS患者においてのみ、血清ゾヌリンレベルの高さとガドリニウム増強病巣の存在が関連していた(未発表データ)。

※gadolinium-enhancing lesions: ガドリニウム増強病巣。ガドリニウムは原子番号64の元素。常磁性をもつことからMRIの造影剤として用いられ、急性期の病巣はガドリニウムで増強される。lesion「障害、病変、病巣」


Fig. 16.
Serum zonulin levels in subjects affected by different types of MS.
異なる型のMSに罹患した患者の血清ゾヌリンレベル

Serum zonulin levels were assessed in MS subjects affected by different subtypes: relapsing-remitting (RRMS) during exacerbation of the disease (n = 30), RRMS in remission (n = 14), secondary-progressive (SPMS) (n = 18) and healthy controls (n = 171).
異なるサブタイプに罹患したMS患者での血清ゾヌリンレベルを検討した。
再発寛解型MS(RRMS)再発中30人、再発寛解型MS(RRMS)寛解中14人、二次性進行型MS(SPMS)18人、健康な対照群171人であった。

Data are presented as means ± SE.
データは平均値±標準誤差で表した。

※SE(Standard Error): 標準誤差。平均値の有りそうな幅を表す。標本数の多さに乗じて低下する

*P = 0.04 compared with controls;
対照群と比較して*P値0.04で統計的有意差があった。

**P = 0.03 compared with RRMS.
RRMSと比較して**P値0.03で統計的有意差があった。

These data were partially presented at the American Academy of Neurology 2004 annual meeting.
これらのデータは米国神経学会2004年第56回年次総会で部分的に公開された。
[PR]

by travelair4000ext | 2012-11-17 18:22 | 翻訳  

<< ゾヌリン系20 ゾヌリン系18 >>