ゾヌリン系23

http://physrev.physiology.org/content/91/1/151.long#sec-25

V-C. Diseases in Which Zonulin Has Been Identified as a Biomarker
ゾヌリンがバイオマーカーとして同定された病気

V-C-1. Autoimmune diseases
自己免疫疾患




A sytematic review of the literature revealed that HP precursor [that we identified as zonulin (159) and, therefore, the two terms can be used interchangeably] has been reported as a biomarker of several pathological conditions, including autoimmune diseases, diseases of the nervous system, and neoplastic conditions.
ハプトグロビンの前駆体(我々がゾヌリンとして同定したので二つの用語は互いに交換可能である)は、自己免疫疾患や神経系疾患、癌の状態などいくつかの病理的状態のバイオマーカーとして報告されていたことが、文献の系統的レビューによって明らかになった。

※sytematic review: 系統的レビュー。研究の文献をできるだけ網羅的に検索し、科学的根拠に基づいて、批判的な姿勢で、統計的に結果をまとめたもの

Interestingly, genes related to these three classes of pathological states have been mapped on chromosome 16 (8, 33, 48, 69, 80, 86, 112, 121, 165), the chromosome where zonulin gene is located (Fig. 11).
興味深いことに、これら三つの病理的状態に関連した遺伝子は、16番染色体上に位置している。
すなわち、ゾヌリンの遺伝子が存在する染色体である(Fig.11参照)。

Using a proteomic approach, Liu et al. (95) have identified HP as an ankylosing spondylitis-associated protein.
プロテオーム研究により、リュウらはハプトグロビンを強直性脊椎炎に関連するタンパク質として同定した。

※ankylosing spondylitis: 強直性脊椎炎。靭帯付着部などの関節辺縁に骨炎が生じ、軟骨が肉芽組織に置換される。炎症が治まると骨化し、脊椎や関節が強直する(曲がらなくなる)。関節リウマチに似ているが、リウマトイド因子は陰性。HLA-B27が95%陽性、男性が90%である

The authors investigated the serum protein profiles of ankylosing spondylitis patients and healthy controls from a large Chinese ankylosing spondylitis family using two-dimensional electrophoresis analysis.
研究者らは二次元ゲル電気泳動法を使い、強直性脊椎炎の大きな中国人家系内から強直性脊椎炎患者と健康な対照群の血清を得て、タンパク質プロファイル(分析一覧)を調査した。

※two-dimensional electrophoresis: 二次元ゲル電気泳動法。異なる電気泳動を方向を変えて二回行うことで、等電点と分子量によってタンパク質を細かく分離できる

A group of four highly expressed protein spots was observed in all ankylosing spondylitis patients' profiles and subsequently identified as isoforms of HP by ESI-Q-TOF MS/MS (95).
全ての強直性脊椎炎患者のプロファイルから、高発現していたタンパク質スポットのまとまりが四つ観察され、その後のエレクトロスプレーイオン化(ESI)四重極型イオンガイド(Q)飛行時間型(TOF)タンデム質量分析法(MS/MS)により、ハプトグロビンのアイソフォームとして同定された。

※spot: スポット。一次元でのband(帯)に対して、二次元電気泳動ではspot(斑点)と呼ぶ

※MS/MS: タンデム型質量分析法。複数の質量分析法を組み合わせたもの

※ESI-Q-TOF: 質量分析法の具体的な過程

--ESI(electrospray ionization): エレクトロスプレーイオン化。高分子(~100万)をイオン化するための方法

--Q(Quadrupole): 四重極型イオンガイド。イオンを4本の電極間に通し電圧をかけることで目的のイオンのみを通過させる

--TOF(time-of-flight): 飛行時間型。真空中のイオン化した物質の飛行時間により質量を決定できる

※isoform: アミノ酸配列は一部異なるが、同じ生理的活性をもつタンパク質

Increased expression of HP was also observed in sera of sporadic ankylosing spondylitis patients.
散発性の強直性脊椎炎患者の血清にも、ハプトグロビンの発現の増加が観察された。

※sporadic: 散発性の。遺伝的要因もしくは家族歴がないこと

Moreover, bioinformatics analysis revealed epitopes derived from HP with high-affinity binding to HLA-B(*)2705, a primary subtype associated with ankylosing spondylitis.
さらに、生物情報科学による解析は、HLA-B*2705に高親和性で結合するハプトグロビン由来のエピトープを明らかにした。
このHLAアリルは、強直性脊椎炎に関与する主要なサブタイプである。

※bioinformatics analysis: 生物情報科学。研究から得られた主に分子レベルのデータを情報学や統計学を利用して解析し、生物学の諸問題を解決する学問分野。必然的にコンピュータによる大規模な計算や、解析されたデータのインターネットによるやり取りを含む

※HLA-B*2705: HLA「ヒト白血球抗原」、B「クラスIのB」。数字は最初の2桁でHLAの特異性、4桁目まででアリル(対立遺伝子)を特定する。この4桁で、どのようなペプチドを結合しやすいかが区別される。同じアミノ酸配列でも遺伝子の配列が異なる(同義置換)場合は2桁追加し、コード領域外の塩基配列の違いなどでさらに2桁と英字が加わる(例:HLA-A*24020102L)

※HLA-B: 細胞質で合成されたタンパク質は一部が分解され、ER内でHLAクラスI分子に載る大きさに調整されて細胞外へ提示されるが、その調整にER内で関わるタンパク質(ERAP1)も強直性脊椎炎のリスクに関連していることが近年発見された

Based on their results, the authors speculated that HP may be involved in the pathogenesis of ankylosing spondylitis.
これらの結果に基づき研究者らは、ハプトグロビンが強直性脊椎炎の病理発生に関与しているかもしれないと推測した。

More recently, Li et al. (94) obtained similar results by analyzing sera from rheumatoid arthritis patients.
より最近(2010年)になって、リーらは関節リウマチ患者らの血清を解析することで同じような結果を得た。

※rheumatoid arthritis: 関節リウマチ。関節炎が持続することで関節構造が変化し、運動機能に障害が出る。リウマトイド因子陽性。有病率は0.3~1.5%で、女性に多い

similar results: ハプトグロビン2など7種類が強く発現していた

The association of HP polymorphism with the risk and clinical course of different inflammatory diseases prompted Papp et al. (128) to investigate the HP distribution among patients affected by inflammatory diseases.
ハプトグロビンの多型と、様々な炎症性疾患のリスクや臨床経過。
これらの関連性は、炎症性疾患に罹患した患者間のハプトグロビンの分布を調査することをパップらに思いつかせた。

Their finding suggests that HP is more frequently expressed in patients affected by sclerosing cholangitis.
彼らの発見によれば、ハプトグロビン2が硬化性胆管炎患者においてより高頻度に発現しているということが示唆された。

※(primary) sclerosing cholangitis: (原発性)硬化性胆管炎。胆管に線維性の狭窄が起き、最終的に胆汁うっ滞性肝硬変に進展する。血清に抗好中球細胞質抗体が高率に陽性であり、自己免疫機序の関与が推定されている。20代または50代前後の男性に多く、潰瘍性大腸炎に合併することが多い

their finding: パップ(ハンガリー、デブレツェン)らは、クローン氏病と潰瘍性大腸炎の患者、健康な対照群からの血清において、電気泳動後ウエスタンブロット法でハプトグロビンの表現型を決定した。
対照群と比較してクローン氏病患者にはハプトグロビン1のタイプが有意に多かったが(オッズ比1.24)、クローン氏病患者のうちハプトグロビン2-1の患者では、1-1や2-2と比べてクローン氏病の症状が軽く済んでいる人が多かった(疾患特性B1:狭窄や穿孔がない)。
ハプトグロビン2-2の患者で原発性硬化性胆管炎を併発していたのは6.6%だが、ハプトグロビン1-1の患者では0%だった。
潰瘍性大腸炎ではこのような傾向は全く無かった。

※OR(odds ratio): オッズ比。ある事象が起きる確率同士を比較したもの。健常者にHP1がいるオッズが1で、クローン氏病患者にHP1がいるオッズが1.24の場合に、オッズ比が1.24となる
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by travelair4000ext | 2012-11-21 15:58 | 翻訳  

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