ゾヌリン系24

http://physrev.physiology.org/content/91/1/151.long#sec-27

V-C-2. Diseases of the nervous system
神経系疾患




In a study focused on detecting schizophrenia-related changes of plasma proteins, Wan et al. (169) used proteomic technology to examine the relation between schizophrenia and HP genotype.
統合失調症に関連する血漿タンパク質の変化を検出するため、ワンらはプロテオーム技術を使い、統合失調症とハプトグロビン表現型の関係を調査した。

※schizophrenia: 統合失調症。妄想や幻覚、奇妙な行動などの陽性症状と、感情や意欲が低下し孤立化する陰性症状などを主に示す。遺伝性が強く、一卵性双生児での一致率は47%である。schizo「分裂」phren「心」-ia「病名を表す接尾辞」

※plasma proteins: 血漿タンパク質。大きくアルブミンとグロブリンに分けられる。血漿とは血液から赤血球、白血球、血小板を除いたもの

※proteomic: プロテオームの。proteomic analysis「プロテオーム解析」、proteomics「プロテオミクス」。細胞や組織で発現している全タンパク質を、系統的かつ網羅的に解析する技術のこと。タンパク質同士の相互作用やタンパク質の立体構造の解析も含まれる

The authors investigated plasma proteins from schizophrenic subjects and healthy controls by two-dimensional gel electrophoresis in combination with mass spectrometry.
研究者たちは二次元ゲル電気泳動法と質量分析法を組み合わせて、統合失調症患者と健康な対照群から得られた血漿タンパク質を調べた。

To further reveal the genetic relationship between acute phase proteins and schizophrenia disease, they tested HP α1/HP α2 (i.e., zonulin) polymorphism and two single nucleotide polymorphisms (SNPs) of HP, rs2070937 and rs5473, for associations with schizophrenia.
さらに彼らは、急性期タンパク質と統合失調症の間の遺伝的な関連を明らかにするために、ハプトグロビンα1/ハプトグロビンα2(つまりゾヌリン)の多型と、ハプトグロビンの二つの一塩基多型(SNP)であるrs2070937とrs5473を分析した。

※single nucleotide polymorphism (SNP): 一塩基多型(スニップと読む)。遺伝子はAGTCという4つの塩基を3つずつ組み合わせて20種類のアミノ酸を暗号化しているが、そのうちの塩基1つが変化していることを指す。ヒトゲノムの場合、数百塩基対に一塩基の頻度で存在する。アミノ酸が置き換わったり終止コドンが出現してタンパク質が発現しなくなることもあるが、何も起きないことも多い

※acute phase protein: 急性期タンパク質。炎症の際、IL-1、IL-6、TNF-αなどに応答して肝臓で産生が増加する(positive)血漿タンパク質群。CRP、ハプトグロビン、フィブリノーゲン、マンノース結合性タンパク質、血清アミロイドAなど。逆にアルブミンやトランスフェリンなどは減少する(negative)

The authors found that four proteins in the family of positive acute phase proteins were all upregulated in patients.
統合失調症患者では、急性期タンパク質ファミリーのうち四つのタンパク質の発現が上昇していたことを研究者は発見した。

In a genetic association study, the authors found significant associations existing between schizophrenia and polymorphisms related to the HP gene (169).
遺伝的関連解析においては、統合失調症とハプトグロビン遺伝子に関する多型との間に著しい関連が見つかった。

Schizophrenia is accompanied by both an altered expression of HP and a different genotype distribution of HP gene, demonstrating that HP is associated with schizophrenia.
統合失調症は、ハプトグロビンの発現の変化とハプトグロビンの遺伝子型分布の偏りを伴っており、ハプトグロビンと統合失調症との関連は明らかである。

The authors concluded that their results from proteomic and genomic aspects both indicate that acute phase reaction is likely to be an etiological agent in the pathophysiology of schizophrenia, rather than just an accompanying symptom.
急性期反応は統合失調症の随伴症状というよりもむしろ、病態生理学における病因的因子である可能性があると、プロテオーム解析とゲノム解析の両方の結果から研究者は結論した。

※genomic: ゲノム(genome)の。生物が持つ遺伝情報の全体。-ome「塊」「集団」「全体」

※acute phase reaction: 急性期反応

※pathophysiology: 病態生理学。病気でみられる機能上の変化を扱う

※agent: 病原体、(ある結果をもたらす)媒介物、(変化を引き起こす)因子

Similar results were previously reported by Maes et al. (104) that examined HP phenotypic and genotypic frequencies in 98 Northwestern Italian schizophrenic patients compared with healthy controls.
同じような結果が以前(2001年)、イタリア北西部の統合失調症患者98人と健康な対照群でハプトグロビンの表現型と遺伝型の頻度を比較調査したマエスらによって報告されていた。

The frequency of the HP gene resulted significantly higher in schizophrenic patients compared with controls (104).
ハプトグロビン2遺伝子の頻度は、統合失調症患者において著しく高い結果だった。

※the frequency of the HP gene:
-HP多型の比率
北西部イタリア人全体
 Hp 1-1 (17.0%), Hp 2-1 (51.3%) and Hp 2-2 (38.5%).
統合失調症患者
 Hp 1-1 (9.2%), Hp 2-1 (38.8%) and Hp 2-2 (52.0%)

Alterations in HP phenotypic and genotypic distribution in favor of HP genotype were more pronounced in the schizo-affective, disorganized, undifferentiated, and residual schizophrenic patients than in paranoid schizophrenic patients (104).
統合失調症の分類では、妄想型の患者よりも、分裂情動性、解体型、鑑別不能型、残遺型の患者において、ハプトグロビン2への表現型と遺伝子型の偏りが明確であった。

※schizophrenic patients: DSM-IVによれば、統合失調症は以下の5つに分類される。disorganized(解体型)、undifferentiated(鑑別不能型)、residual(残遺型)、paranoid(妄想型)、catatonic(緊張型)。それとは別にschizo-affective(分裂情動性または統合失調感情)は統合失調症と躁うつ病の中間の病像で、さらに双極型と抑うつ型に分類される

※in favor of: ~を支持して

To better understand the pathophysiology of the mechanisms underlying neuromyelitis optica, Bai et al. (9) developed a proteomics platform for biomarker discovery in the cerebrospinal fluid of patients affected by this clinical condition.
視神経脊髄炎の根底にあるメカニズムの病態生理をより深く理解するため、ベイらは患者の脳脊髄液中からバイオマーカーを発見することを目的としてプロテオーム解析プラットフォーム(構築基盤)を開発した。

※neuromyelitis optica: 視神経脊髄炎。急性の炎症により神経が脱髄し、視力が著しく低下、四肢の麻痺が起きる。急性散在性脳脊髄炎や多発性硬化症の一型とされる

Two-dimensional electrophoresis and matrix-assisted laser desorption ionization time of flight mass spectrometry (MALDI-TOF MS) were used to compare the cerebrospinal fluid proteome of patients affected by neuromyelitis optica with that of controls.
視神経脊髄炎に冒された患者と対照群の脳脊髄液プロテオームを比較するため、二次元ゲル電気泳動法と、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)飛行時間型(TOF)質量分析法(MS)が使用された。

※matrix-assisted laser desorption ionization: マトリックス支援レーザー脱離イオン化法。高分子をイオン化するための方法

Subsequent ELISA and western blot analyses were performed to verify the results of the proteomic analysis.
その後プロテオーム解析の結果を確かめるため、酵素結合免疫吸着法とウエスタンブロット法が実施された。

HP was identified as one of the four proteins that the authors found to be enhanced in the neuromyelitis optica group compared with controls.
研究者らは視神経脊髄炎のグループにおいて、対照群と比較して四つのタンパク質の発現が高まっていることを発見し、ハプトグロビンはそのうちの一つであった。

the four proteins: 解析の結果、健常者と比較して視神経脊髄炎患者の脳脊髄炎では4つのタンパク質の発現が上昇、7つの発現が低下していた。上昇している中の一つがハプトグロビン。しきい値を2.20μg/mlとした時の感度(sensitivity: 患者中で基準を満たす割合)は92.0%、特異度(specificity: 対照群中で基準を満たさない割合)は83.3%である。
減少している中の一つがビタミンD結合タンパク(vitamin D-binding protein: DBP)。ビタミンDの低下は多発性硬化症の発症とも関連しており、また多発性硬化症患者の脳脊髄液においてもDBPの発現は低下している

Increased levels of HP were also detected in the cerebrospinal fluid of patients affected by MS (156) and in the serum of Guillain Barre syndrome subjects (71).
ハプトグロビンレベルの上昇は、多発性硬化症に冒された患者の脳脊髄液からも見つかり、さらにギラン-バレー症候群の患者の血清からも検出されている。

※Guillain Barre syndrome: ギラン-バレー症候群。上気道や消化管へのウイルス感染から1~3週間後に発症し、急激な筋力低下と感覚障害が起きる。末梢神経の脱髄とリンパ球やマクロファージの浸潤を特徴とする。感染により末梢神経の糖脂質成分に対して自己抗体が形成されることによる
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by travelair4000ext | 2012-11-23 22:23 | 翻訳  

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