ストレスとタイトジャンクション01

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12949725

http://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(03)01057-6/abstract

Stress-induced disruption of colonic epithelial barrier: role of interferon-γ and myosin light chain kinase in mice.
ストレスにより誘発される結腸上皮バリアの破損
マウスにおけるインターフェロン-ガンマとミオシン軽鎖キナーゼの役割

Abstract
要旨




Ferrier L, Mazelin L, Cenac N, Desreumaux P, Janin A, Emilie D, Colombel JF, Garcia-Villar R, Fioramonti J, Bueno L.
フェリエ L、マゼリン L、シナーク N、デルム P、ジャニン A、エミリー D、コロンベル JF、ガルシア・ヴィラー R、フィオラモンティ J、ブエノ L

Neuro-Gastroenterology and Nutrition Unit, Institut National de la Recherche Agronomique, Toulouse, France.
神経・消化器・栄養科、国立農学研究所(INRA)、トゥールーズ、フランス



Background Aims :
背景と目的

Stressful life events are supposed to be involved in various diseases such as inflammatory bowel diseases and irritable bowel syndrome.
ストレスに満ちた人生の出来事は、炎症性腸疾患や過敏性腸症候群のような様々な疾患に関与すると思われる。

※stress: ストレス。外的な刺激であるストレッサーに対して生じる反応

※life event: 人生における比較的大きな出来事。離別、死別、不和、転居、経済的困窮、法廷闘争、更年期障害、精神障害、怪我、病気、災害など

Impairment of the intestinal epithelial barrier function is a suspected consequence of stress, but the underlying mechanisms remain unclear.
腸上皮バリアの機能不全はストレスの結果であると疑われているが、根本的なメカニズムは不明なままである。

This study aimed to determine the mechanisms through which stress modulates the colonic epithelial barrier.
この研究は、ストレスが結腸上皮のバリアを調節するメカニズムを決定することを目的とする。



Methods :
方法

Cytokine messenger RNA (mRNA) expression was evaluated in murine colon, liver, and spleen by competitive reverse-transcription polymerase chain reaction after 1-4 days of daily 2-hour stress sessions.
マウスに毎日2時間のストレスを経験させ、1日目から4日目までサイトカインのメッセンジャーRNA(mRNA)の発現を競合的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応により評価した。
測定した場所は、結腸、肝臓、脾臓である。

※competitive reverse-transcription polymerase chain reaction: 競合的逆転写PCR法。mRNAからcDNAへ逆転写したのちにPCR法によりDNAを増幅して定量化する逆転写PCRに加えて、2種類のmRNAを競合的に同時に増幅するため競合的という。
標的となる遺伝子と同一のプライマーで増幅できるが余分な塩基(制限酵素で切断できるような)を加えて鎖長を変えた標準的な遺伝子を作成し、それを既知の濃度で試料に加え、標的遺伝子とともに競合的に逆転写PCRを行う。PCR後に鎖長の異なる(もしくは制限酵素で切断してから)遺伝子を電気泳動で分離後、それぞれのバンドの濃淡を定量比較することで、既知の標準遺伝子の量から標的遺伝子の量を測定することができる

Colonic paracellular permeability was measured as the in vivo lumen-to-blood ratio of 51Cr-ethylenediaminetetraacetic acid.
結腸の傍細胞の透過性は、クロム51-エチレンジアミン四酢酸の生体内での管腔-血中比率として計測した。

※51Cr (chromium 51): クロム51。電子捕獲により崩壊。半減期27.8日

※Cr (chromium): クロム。原子番号24。2価、3価、6価として存在し、六価クロムは有毒

※ethylenediaminetetraacetic acid: エチレンジアミン四酢酸。分子量292.24。金属をキレートする目的で使用される

※chelate: キレート。1つの金属イオンを分子の両端がはさみ状になりつつ環(複素環化合物)を形成する構造のこと。キレートの語源であるchelaはギリシャ語ではさみ(claw)の意

The effect of a myosin light chain (MLC) kinase inhibitor (ML-7) was assessed on stress-induced interferon (IFN)-γ mRNA expression and colonic epithelial barrier impairment, and MLC phosphorylation was determined by immunoblot.
ミオシン軽鎖(MLC)キナーゼ阻害剤(ML-7)の影響は、ストレスにより誘発されるインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)のmRNA発現と、結腸上皮バリア障害により検討した。
MLCのリン酸化は免疫ブロット法により決定した。

※immunoblot: 免疫ブロット。電気泳動などで分離したタンパク質をニトロセルロース膜に転写(ブロット)し、特異的抗体で検出する。ウエスタンブロット法。blot 「染みをつくる」

Finally, the incidence of repeated stress sessions on bacterial translocation was determined.
最終的に、ストレス経験の繰り返しがバクテリアトランスロケーションへ与える影響の範囲を決定した。

※incidence: (病気の)発生、発生率、(影響の)範囲、出現範囲

※bacterial translocation: 細菌転移、バクテリアトランスロケーション。細菌や細菌の産物が腸管粘膜を横切って移動すること



Results :
結果

Repeated stress induced an overexpression of colonic IFN-γ.
繰り返しストレスは、結腸でIFN-γの過剰発現を誘発した。

In the liver, higher levels of IFN-γ, interleukin (IL)-4, and IL-10 mRNAs were detected and were associated with bacterial translocation, inflammation, and apoptosis.
肝臓では、IFN-γ、インターロイキン(IL)-4、IL-10のmRNAが高濃度で検出され、それらはバクテリアトランスロケーション、炎症、アポトーシスと関連していた。

Stress increased colonic permeability of control mice, but not of SCID and IFN-γ-deficient mice.
ストレスは対照マウスの結腸の透過性を上昇させたが、SCIDマウスとIFN-γ欠損マウスではそうではなかった。

※SCID (Severe Combined ImmunoDeficiency): 重症複合免疫不全症。様々な原因によりリンパ球に欠陥が生じる。SCIDマウスではT細胞、B細胞が欠損している

ML-7 inhibited the stress-induced increased permeability, bacterial translocation, and cytokine overexpression in the liver and restored a normal histology.
ML-7は、ストレス誘発性の透過性上昇、バクテリアトランスロケーション、肝臓でのサイトカイン過剰発現を阻害し、正常な組織構造を回復した。

Larger amounts of phosphorylated MLC were detected in stressed animals.
ストレスを与えたマウスからは、より多量のリン酸化MLCが検出された。



Conclusions :
結論

Repeated stress sessions drive organ-specific cytokine expression patterns and alter colonic mucosal barrier functions associated with bacterial translocation.
繰り返しのストレス経験は組織特異的なサイトカイン発現のパターンを作り出し、結腸の粘膜バリア機能を改変し、バクテリアトランスロケーションに関与する。

This effect depends on the presence of CD4+ T cells and requires IFN-γ production and MLC phosphorylation.
この影響はCD4+T細胞の存在に依存し、IFN-γの産生とMLCのリン酸化を必要とする。
[PR]

by travelair4000ext | 2013-02-13 21:23 | 翻訳  

<< ストレスとタイトジャンクション02 アルコールとタイトジャンクション >>