乳製品と糖尿病10

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3310004/#__sec18title

HYPER-ACTIVATED TORC1 IN DIABETES-ASSOCIATED DISEASES
糖尿病に関連する疾患においてTORC1は過剰に活性化している




T2D is closely associated with an increased risk of other age-related diseases like obesity, cancer and neurodegenerative diseases.
2型糖尿病は、肥満、癌、神経変性疾患のような他の加齢関連疾患のリスク増加と密接に関連している。

Activated mTORC1 signaling has already been implicated to play important roles in the development of Western diseases, especially insulin resistance, T2D, obesity, cancer and neurodegenerative diseases[29,160-163].
mTORC1シグナルの活性化は、西洋的な病気の発症において重要な役割を演じることが既に示されている。
中でも特に、インスリン抵抗性と2型糖尿病、肥満、癌、神経変性疾患においてである。

Intriguingly, inhibition of mTORC1 by rapamycin abolished cognitive deficits and reduced amyloid-β levels in a mouse model of Alzheimer’s disease[164].
興味深いことに、アルツハイマー病のモデルマウスにおいてmTORC1をラパマイシンで阻害すると、認知機能障害は消滅し、アミロイドベータ濃度も低下した。

A lower risk of Alzheimer’s disease was characterized by higher intakes of salad, nuts, fish, tomatoes, poultry, cruciferous vegetables, fruits and dark and green leafy vegetables and a lower intake of high-fat dairy products, red meat, organ meat and butter[165].
アルツハイマーのリスクが低い人はサラダ、ナッツ、魚、トマト、鳥肉、アブラナ科の野菜、果物、濃い緑色の葉の野菜をより多く取るという特徴があり、高脂肪の乳製品、赤身肉、動物の内臓、バターの摂取は少なかった。

※dark green leafy vegetables: 濃い緑色の葉の野菜。ほうれん草や小松菜のこと

Furthermore, the leucine-antagonizing mTORC1 inhibitor metformin has been shown to exert cancer-protective effects[123-128].
さらに、ロイシンに拮抗するmTORC1阻害剤であるメトホルミンは、癌から保護する効果を発揮することが示されている。

It is not surprising that natural plant-derived mTORC1 inhibitors like resveratrol and EGCG exhibit beneficial effects, not only in treatment and prevention of T2D, but also in obesity, cancer and neurodegenerative diseases, which all have hyper-activated mTORC1 signaling in common.
レスベラトロールとエピガロカテキンガレートのような自然の植物に由来するmTORC1阻害剤が、2型糖尿病の治療や予防だけでなく肥満、癌、神経変性疾患においても有益な効果を示すのは驚くことではない。
それらは全てmTORC1シグナルが過剰に活性化しているという共通点を持つからである。







http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3310004/#__sec19title

WESTERN DIET AND TORC1 OVER-ACTIVATION
西洋的な食事とTORC1の過剰な活性化

The Western diet up-regulates all three major pathways important for mTORC1 activation (Figure4):
西洋的な食事はmTORC1活性化に重要な三つの経路全てを促進する (Figure4)。

三つの経路とは、

(1) increased supply of glucose, fat, alcohol (energy);
一つは、グルコース、脂肪、アルコール。つまりエネルギーの供給の増加、

(2) increased food-mediated insulin/IGF-signaling; and
二つ目は、食事によるインスリンとIGFシグナルの増加、

(3) abundance of leucine which is supplied by meat and dairy proteins consumed in increasing amounts during the last decades (Figure3).
そして三つ目、最近の数十年間に消費量が増加した肉と乳製品によって供給されるロイシンの量である (Figure3)。

High levels of glucose and fat increase cellular energy (ATP) levels and thus suppress AMPK activity resulting in mTORC1 activation.
高濃度のグルコースと脂肪は、細胞のエネルギーであるATPの濃度を増加させ、したがってAMPKの活性を抑制してmTORC1が活性化するという結果になる。

Furthermore, high glycemic load with high glucose availability stimulates insulin signaling, which has been a matter of concern for more than a decade[166].
さらに、グルコースの高い消化吸収率を伴う高いグリセミック負荷はインスリンシグナルを刺激するが、そのことは10年以上ずっと重要な問題になっている。

※glycemic load: グリセミック負荷 (GL)。グリセミック指数 (GI) に炭水化物の重量をかけた値

Most important growth factor signals for activating mTORC1 are insulin and IGF-1.
mTORC1を活性化させる最も重要な成長因子シグナルは、インスリンとIGF-1である。

Plasma IGF-1 concentrations depend on the level of dietary protein intake, with low protein diets being associated with reduced circulatory IGF-1 levels[167].
血漿IGF-1濃度は食事中のタンパク質摂取レベルに依存し、タンパク質の少ない食事は循環IGF-1レベルの減少と関連する。

The liver is the major site secreting IGF-1 into the systemic circulation.
全身の循環へIGF-1を分泌する主な場所は肝臓である。

Remarkably, hepatic IGF-1 production has been shown to be dependent on the availability of amino acids[167].
注目すべきは、肝臓のIGF-1産生はアミノ酸の利用可能性に依存していることが示されたことだ。

IGF-1 is a crucial growth factor signal for mTORC1 activation in pancreatic β-cells[104].
IGF-1は膵臓β細胞でのmTORC1活性化にとって重要な成長因子シグナルである。

Persistent reduction of pancreatic β-cell mass has been demonstrated in young rats after a limited period of protein-energy malnutrition[168].
若いラットにおいて限られた期間タンパク質のエネルギーを不足させただけでも、持続的に膵臓β細胞が減少したままであることが明らかになっている。

persistent reduction: 168の実験では、3週齢のラットにタンパク質が15%と5%のエサを与え、3週間後の6週齢からはタンパク質が18%の市販のエサを与えた。3、6、12週齢時に光学・電子顕微鏡で膵臓を観察した。その結果、通常のエサのラットでは膵臓β細胞の重量および個々のサイズは順調に成長したが、タンパク質不足のラットでは6週齢の時点でβ細胞の重量および個々のサイズは減少しており、12週齢になっても減少したままであった



The high meat consumption of the Western diet, which has more than doubled in Germany between 1950 and 1975 and maintained its high value until today (Figure1), supplies plenty of amino acids for high hepatic IGF-1 synthesis as well as high amounts of leucine for mTORC1 activation.
西洋的な食事では大量の肉を消費するが、ドイツにおいては1950年から1975年の間に肉の消費は2倍以上になり、その高い値は今日まで維持されている (Figure1)。
肉は大量のアミノ酸を供給し、肝臓のIGF-1合成は高まる。
大量のロイシンがmTORC1を活性化するのはもちろんだ。

However, the highest source of leucine is provided by milk proteins.
しかし、最も多くロイシンを供給する源は牛乳のタンパク質である。

In fact, mammalian milk is the physiological diet to mediate postnatal growth.
事実、哺乳類の母乳は生後の成長に影響を与える生理的な食事である。

※physiological: 生理的な。有機体の機能や組織に関するさま、またはそれが正常であるさま。例えば「生理的食塩水」は細胞液や体液と浸透圧が等しい

It is thus conceivable that milk proteins significantly contribute to profound mTORC1 activation to ensure adequate β-cell growth as well as increased secretion of the anabolic hormone insulin.
したがって、牛乳のタンパク質はmTORC1の完全な活性化に著しく貢献すると考えられる。
同化ホルモンであるインスリンの分泌を増加させるのはもちろん、十分確かにβ細胞を成長させるためである。

Milk has to be regarded as an endocrine signaling system that up-regulates mTORC1 activity by increasing insulin secretion, hepatic IGF-1 secretion and mTORC1-mediated β-cell growth and proliferation for neonatal growth requirements[169].
牛乳は、mTORC1活性を促進する内分泌シグナルシステムとして見なされてきた。
それは牛乳が、新生児の成長の必要を満たすためのインスリン分泌と肝臓のIGF-1分泌を増加させ、mTORC1によるβ細胞の成長と分化を促進することによる。

Milk consumption not only stimulates the somatotropic axis but also activates incretin signaling by enteral stimulation of GIP[27,170].
牛乳は、脳下垂体からの成長ホルモン経路を刺激するだけでなく、腸でGIP分泌を刺激することによりインクレチンシグナルを活性化する。

※somatotropin: 下垂体前葉から分泌される成長ホルモン。ソマトトロピン。糖の利用を抑制するため、過剰は糖尿病の原因となる。欠損は小人症の原因

※incretin: インクレチン。膵外分泌を促進するセクレチン (secretin) に対して、膵内分泌を促進することから名付けられた (in + secrete)。GIPとGLP-1が代表的。β細胞のcAMP/PKAを活性化することで作用する

※enteral stimulation of GIP: [PUBMED検索 Whey+GIP]

Cow milk’s excessive insulinotropic activity is characterized by milk’s high insulinemic index[171].
牛乳の過剰なインスリン分泌的な活性は、その高インスリン血症の引き起こしやすさが特徴である。

※insulinemic index: insulinemia は「高インスリン血症」という意味。ここでは「どれくらい高インスリン血症を引き起こしやすいかの指標」ぐらいの意味だろうか

※insulinogenic index (II): インスリン分泌指数。インスリン分泌の反応性を表す指標。インスリノゲニック・インデックス

Notably, increased daily intake of milk but not meat significantly raised basal insulin and IGF-1 serum levels and increased insulin resistance in 8 years old boys[172].
注目すべきことに、8歳の男の子が日々毎日のように牛乳を (肉ではなく) 摂取することで基礎的なインスリン濃度とIGF-1濃度は著しく上昇し、インスリン抵抗性も上昇した。

Milk-induced insulin resistance can be well explained by increased mTORC1/S6K1-mediated IRS-1 phosphorylation.
牛乳が引き起こすインスリン抵抗性は、mTORC1/S6K1を介したIRS-1リン酸化の増大によって十分に説明することができる。

Moreover, epidemiological data in adults confirmed the correlation between increased dairy protein consumption and raised IGF-1 serum levels[173,174].
さらに、成人の疫学的なデータは、乳製品タンパク質の増加とIGF-1の血清濃度との間の相関を立証した。

Thus, dairy protein consumption significantly contributes to exaggerated insulin/IGF-1-signaling and insulin resistance promoted by the Western diet, appreciated risk factors involved in the development of T2D and obesity[175].
インスリン/IGF-1シグナルとインスリン抵抗性は西洋的な食事によって促進されるが、以上のことから、乳製品のタンパク質の消費はそのさらなる悪化に寄与している。
乳製品は2型糖尿病と肥満の発症に関するリスク要因として認識され、実際その原因なのである。

Remarkably, patients with Laron syndrome due to congenital IGF-1 deficiency exhibit short stature and lower incidence rates of acne, T2D and cancer, which may be explained by reduced mTORC1 stimulation due to low insulin/IGF-1 signaling[175].
驚くべきことに、生まれつきIGF-1を欠損していることによるラロン症候群の患者が示すのは、低身長と、ニキビ・糖尿病・癌の低い発生率である。
それは低いインスリン/IGF-1シグナルによるmTORC1刺激の減少によって説明されるだろう。

※Laron syndrome: ラロン症候群。GHは高値だがIGF-1とIGF-2は低値を示す低身長症。GH受容体の遺伝子変異もしくはGH受容体からのシグナルの異常により、IGF-1の合成障害をきたす






Whey proteins have to be regarded as life starter proteins that contain the highest amount of leucine (14%), followed by casein (10%), the major protein constituent of cow milk and cheese[22] (Table2).
ホエイタンパク質は人生をスタートさせるタンパク質として見なされている。
ホエイは最も多くロイシンを含んでいて (ロイシン14パーセント) 、それにカゼインが続く (ロイシン10パーセント)。
それらは牛乳とチーズを構成する主要なタンパク質である (Table2)。

※whey: ホエイ、乳清。チーズを製造するときの凝固の際に、カード (curd) から分離される液体。

※curd: カード、凝乳。チーズの原料

For comparison, 100 g of rump steak contains approximately 2.4 g leucine comparable to 100 g of Gouda cheese (2.4 g), which is in strong contrast to 100 g white cabbage (0.056 g), or 100 g apple (0.016 g) (Table.3).
それらと比較して、100グラムの牛尻肉の切り身は約2.4グラムのロイシンを含み、100グラムのゴーダチーズ (2.4グラム) に匹敵する。
それらは100グラムの白キャベツ (0.056グラム) もしくは100グラムのリンゴ (0.016グラム) と強く対照を成す (Table3)。

※rump: ランプ。牛肉の尻に近い腰部 (loin) からとる切り身

※steak: 切り身、またはそれを焼いたもの

To reach the leucine intake provided by 100 g Gouda cheese or 100 g steak, 4.2 kg white cabbage or 100 apples could be consumed.
100グラムのゴーダチーズもしくはステーキによって供給されるロイシン摂取量に届くためには、4.2キログラムのキャベツか、リンゴ100個を食べなければならないだろう。

These calculations exemplify the extreme differences in leucine amounts provided by an animal meat/dairy protein-based diet in comparison to a vegetarian or vegan diet.
これらの計算は、ベジタリアンやビーガンの食事と比較して、動物の肉や乳製品のタンパク質をベースにした食事によって供給されるロイシンの量における極端な違いを例示する。

Thus, the increased consumption of meat and dairy proteins provide excessive amounts of leucine for mTORC1 activation.
したがって、肉と乳製品タンパク質の消費の増大は、mTORC1を活性化させる過剰な量のロイシンを供給する。

In comparison to meat, milk proteins are unique as they provide two major activating signals for mTORC1 activation, i.e., high insulin/IGF-1 signals as well as high leucine availability[169] (Table 4).
肉のタンパク質も、牛乳のタンパク質には及ばない。
なぜなら牛乳のタンパク質は、mTORC1を活性化するための主要な活性化シグナルを二つも提供するからである。
それはすなわち、高レベルのインスリン/IGF-1シグナルであり、そしてロイシンの高い有用性はもちろんである (Table 4)。

※availability: 有用性。ある方法が有効である (効果がある) ということと、有用性がある (実際に役に立つ、使い物になる、きちんと利用可能である) ということは、別の問題であろう
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by travelair4000ext | 2013-05-05 00:32 | 翻訳  

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