社会的孤立と精神病08

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3759852/

PV interneuron-specific vulnerability to oxidative stress
PV介在ニューロン特有の酸化ストレスへの脆弱性




It has been observed in several lines of animal studies that PVIs are vulnerable to oxidative stress during development.
いくつかの系統の動物研究において、PVIは発育中の酸化ストレスに対して脆弱であることが観察されている。

Behrens et al. (2007, 2008) found that repetitive adult exposure to the NMDAR antagonist ketamine increases the levels of the proinflammatory cytokine interleukin-6 (IL-6) in brain which, through activation of the superoxide-producing enzyme Nox-2, leads to the loss of the GABAergic phenotype of PVIs.
Behrensらは、マウスの成体をNMDARアンタゴニストのケタミンに繰り返し曝露させると炎症性サイトカインのインターロイキン-6 (IL-6) の濃度が脳で増加することを発見した。
IL-6の増加はスーパーオキシド産生酵素のNox-2を通してであり、IL-6はGABA作動性表現型のPVIが喪失することにつながる。

※IL-6 in brain leads to the loss of PVIs: マウスをケタミンに24時間曝露させた後のIL-6による影響は、抗IL-6抗体もしくはアポシニンによって抑制された (Behrens et al. 2008)

※phenotype: 表現型。複数の遺伝子によって表現される、観察可能な形質

Pretreatment of animals with APO, or with the SOD-mimetic C3 reduces superoxide production and prevents the loss of PV immunoreactivity (IR) induced by ketamine.
マウスをアポシニン (APO) 、もしくはSODを模するC3で前もって処理すると、スーパーオキシド産生は減少し、ケタミンによって引き起こされるPV免疫反応 (IR) の喪失は阻止される。

※C3 (tris-malonyl C60): C60フラーレン分子のトリスマロン酸誘導体。C3はミトコンドリアに局在してスーパーオキシドを不均化 (dismutation) する。tris-「続いて別個に結合する3つの同じ置換基がある」、malonyl「マロニル基を含む」

Nox-2 deficiency completely prevented the loss of PVIs in the prelimbic regions (Behrens et al., 2008).
Nox-2の欠損は、mPFC前辺縁領域でのPVIの喪失を完全に阻止した。

※prelimbic cortex (PL): 前辺縁皮質。medial prefrontal cortex (mPFC; 内側前頭前皮質) の一部。infralimbic cortex (IL) 「下辺縁皮質」

The reversible effects in adult exposure (Behrens et al., 2008) were not observed for the animals with perinatal exposure of ketamine, suggesting that perturbation of the excitatory/inhibitory balance during early life produces oxidative stress that has profound effect on PVI maturation.
成体がケタミンに曝露しても影響は可逆的であったが、出生前後にケタミンに曝露すると可逆性は観察されなかった。
このことは、生まれて早いうちから興奮性/抑制性のバランスが混乱すると酸化ストレスを生じ、それはPVIの成熟に対して深い影響を与えることを示唆する。

In fact, exposure of wild type mice to ketamine on postnatal day 7, 9, and 11 is sufficient to cause a reduction in PV-IR in adulthood without death of interneurons (Powell et al., 2012), suggesting that blockade of NMDAR signaling is sufficient to alter the expression profile of FS interneurons.
事実、生後7、9、11日の野生型マウスのケタミンへの曝露は、成体で介在ニューロンが死ぬことなくPV免疫反応を減少させるには十分である。
このことから、NMDARシグナルの阻害は、高速発火 (FS) 介在ニューロンの発現の特徴を変更するのに十分であることが示唆される。

※postnatal day 7: マウスではPVIの遊走は胎生15-17日までに完了するが、PVIの成熟は生後1週間が過ぎるまで始まらない。PVIは生後5日からGABAとグルタミン酸に応答を開始し、生後7日目からPVを発現し始める。そしてその後3週間ずっとFS PVIとして成熟を続ける (Powell et al., 2012)

※profile: 横顔、輪郭、概要、一覧、特性のまとめ、特徴、プロフィール






The idea that PVIs are more susceptible to oxidative stress during development is also supported by the evidence that early postnatal PCP injection can selectively reduce PVI numbers (Wang et al., 2008; Nakatani-Pawlak et al., 2009) and cause redox dysregulation (Radonjic et al., 2010) in corticolimbic areas.
発達中のPVIが酸化ストレスに影響を受けやすいという考えは、生後早期のフェンシクリジン (PCP) 注入が選択的にPVIを減少させ、皮質辺縁領域において酸化還元の調節に異常を引き起こすことができるというエビデンスによっても支持される。

Cabungcal et al. (2007) showed that a transient brain GSH deficit induced by BSO (Lbuthionine-(S, R)-sulfoximine) during early postnatal period is sufficient to cause cognitive impairment as well as decreased numbers of PVIs in adulthood.
BSO (L-ブチオニン-(S, R)-スルホキシミン) による生後早期の一時的な脳でのグルタチオン (GSH) 欠乏は成年期に認知障害を引き起こすには十分であり、PVIの数も減少させることをCabungcalらは示した。

BSO (L-buthionine-(S, R)-sulfoximine): L-ブチオニン-(S, R)-スルホキシミン。γ-グルタミルシステイン合成酵素 (γ-glutamylcysteine synthetase) を阻害し、グルタチオン合成を抑制する

γ-glutamylcysteine synthetase: γ-グルタミルシステイン合成酵素。glutamate cysteine ligase (GCL; グルタミン酸システイン結合酵素) とも。グルタミン酸とシステインを結合してγ-グルタミルシステインを合成する、グルタチオン合成の律速酵素。触媒サブユニット (catalytic subunit; GCLC) と調節サブユニット (modifier subunit; GCLM) から構成される

Using GCLM KO mice, Cabungcal et al. (2013a) demonstrated that impaired synthesis of glutathione delays maturation of PVIs in the anterior cingulate cortex as indicated by reduced PVI numbers, but not calretinin and calbindin positive interneuron numbers, and a reduction in the density of perineuronal nets (PNNs), specialized extracellular matrix components concentrated around PVIs.
CabungcalらはGCLMをノックアウトしたマウスを使い、グルタチオン合成の障害は前帯状皮質においてPVIの成熟を遅らせることを明らかにした。
成熟の遅れはPVIの減少で示され (カルレチニン陽性介在ニューロンとカルビンディン陽性介在ニューロンの数は減少しなかった)、PVIの周囲に集中する特殊化した細胞外マトリクス構成要素であるペリニューロナルネット (PNN) の密度が減少した。

calretinin: カルレチニン。トロポニンCスーパーファミリーの一つで、カルシウムに結合するEFハンドドメインが6つ存在する。カルレチニン陽性介在ニューロンは霊長類DLPFCのGABAニューロンの45パーセントを構成する

calbindin: カルビンディン。カルシウム結合タンパク質。カルビンディン-D28kのEFハンドドメインは4つ。カルシウムに結合する機能を失ったドメインも2つ残っている

parvalbumin: パルブアルブミン。EFハンドドメインが3つのカルシウム結合タンパク質

※perineuronal nets (PNNs): ペリニューロナルネット。神経細胞の周囲 (peri-) にはヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸プロテオグリカン (ニューロカン、バーシカン、ホスファカン) などの物質が蓄積し、網目状に (net) 複合体を形成する。新しいシナプスの形成を抑制したり、神経を保護する役割がある

※neurocan: ニューロカン。コンドロイチン硫酸プロテオグリカン3 (chondroitin sulfate proteoglycan 3)



These effects of reduced glutathione synthesis were only evident during early development but not in later stages.
グルタチオン合成が減少することによるこれらの影響が明らかなのは発育の早期だけであって、より遅い段階ではそうではない。

More interestingly, they found that an additional oxidative challenge induced by the dopamine reuptake inhibitor GBR-12909 in preweaning or pubertal but not in young adult GCLM KO mice reduces the number of PVIs in anterior cingulate cortex.
より興味深いことに、GCLMノックアウトマウスに対してドーパミン再取り込み阻害剤GBR-12909によってさらに酸化ストレスの負荷をかけると、離乳前もしくは思春期では前帯状皮質においてPVIを減少させるが、成年期の初期ではそうならないことを彼らは発見した。

Additionally, PVIs in rats with a neonatal central hippocampal lesion exhibit oxidative stress prior to symptom onset as indicated by increased 8-OH-dG marker intensity in most PVIs in the prefrontal cortex (O’Donnell, 2012).
さらに、生後に海馬の中央を損傷したラットのPVIは症状の始まりに先立って酸化ストレスを示し、それは前頭前皮質のほとんどのPVIにおいて酸化ストレスのマーカーである8-オキソ-7, 8-ジヒドロ-2'デオキシグアノシン (8-OH-dG) の強さが増すことで示された。

Treatment with the GSH precursor NAC during juvenile and adolescent periods reverses the loss of PVIs and restores deficits in prepulse inhibition (O’Donnell, 2012).
幼若期と青年期の間にGSHの前駆体であるNACを投与するとPVIは喪失せず、プレパルス抑制 (prepulse inhibition) が回復する。

※juvenile: 生殖可能期に達していない動植物。幼若な、生長しきっていない

※adolescence: 青年期。主に十代の大部分をいう。思春期 (puberty) から成年期 (adulthood) までの間。

※young adult: 成年期の初期。十代後半の青少年、成人になったばかりの人。adultはマウスやラットでは「成体」

※prepulse inhibition: プレパルス抑制。先に弱い刺激を与えておくと、その後の強い刺激に対する驚愕の反応が抑制される現象。



Collectively, these data suggest that PVIs are vulnerable to oxidative stress, particularly during their development.
合わせて考えると、これらのデータはPVIは酸化ストレスに脆弱であり、特にその発育中にはより傷つきやすいことを示唆する。

In our Ppp1r2-cre/fGluN1 KO mice, we observed the reduction of PV-IR and oxidative stress increase on cortical PVIs, not calretinin or calbidin positive interneurons, following the post-weaning social isolation.
NMDARサブユニットNR1をノックアウトした我々のマウスを離乳後に社会的孤立させると、PV免疫染色 (PV-IR) の減少、ならびに皮質PVIでの酸化ストレスの増加が観察されたが、カルレチニンまたはカルビンディン陽性介在ニューロンではそうではなかった。

Reduction of PV-IR upon social isolation was prevented by chronic treatment of APO, suggesting that reduced PV protein level is associated with elevated oxidative stress in PVIs (Jiang et al., 2013).
社会的孤立マウスでのPV免疫染色の減少は、APOの持続的投与によって阻止された。
このことが示唆するのは、PVタンパク質濃度の減少がPVIでの酸化ストレスの上昇と関連するということだ (Jiang et al., 2013)。
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by travelair4000ext | 2013-10-16 15:56 | 翻訳  

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