自己免疫疾患の原因02

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3225699/

The concept of epigenetics and its involvement in autoimmune diseases.
エピジェネティクスの概念と自己免疫疾患における関与




Despite the multitude of approaches utilized for determining the origin of autoimmune diseases, a definitive understanding of the pathogenic mechanisms involved remains poorly defined.
自己免疫疾患の原因を解明するために多くの研究方法が利用されてきたにもかかわらず、発病に関与するメカニズムの決定的な理解は十分に得られないままだ。

Although Mendelian inheritance has been demonstrated for rare disorders, most autoimmune diseases are associated with polymorphisms in susceptibility genes and transmission rates are significantly lower than expected [1].
まれな疾患に関するメンデル遺伝が明らかにされてきたが、自己免疫疾患のほとんどは (複数の) 感受性遺伝子の多型に関連しており、その伝達率は予想されるよりも著しく低い。

※mendelian inheritance: メンデル遺伝。メンデルの法則 (優性・分離・独立) に従って起こる遺伝で、メンデル比を満たす。単一遺伝子の異常による疾患はメンデル遺伝の法則に従う

In these cases, environmental factors appear to influence disease onset, progression, and outcome [2].
これらの場合、疾患の発症、進行、そして転帰に影響するのは環境的要因であるように思われる。

※in these cases: これらの場合、つまり多因子疾患の場合。[2]ではいくつかの単一遺伝子による疾患が挙げられている。
まず自己炎症性症候群の周期熱症候群 (PFS) で、NLRP3インフラマソームによるIL-1β活性化を調節するMEFV遺伝子が原因の家族性地中海熱 (FMF) と、NLRP3をコードする遺伝子CIAS1の変異が原因の家族性寒冷蕁麻疹 (FCAS) 、Muckle-Wells症候群 (MWS)、新生児期発症多臓器性炎症性疾患 (NOMID/CINCA)。
PFSにはさらに、IL1RNにコードされるIL-1受容体アンタゴニスト (IL-1RA) の欠損によるDIRA、TNF受容体TNFRSF1Aの変異によるTRAPS、MVK遺伝子の変異が原因の高IgD症候群 (HIDS) がある。
PFS以外では、Fas/ApoI、Fasリガンド、カスパーゼ-8、カスパーゼ-10等のアポトーシスに関連する遺伝子変異が原因の自己免疫性リンパ増殖症候群 (ALPS) と、FOXP3の変異による免疫異常多発性内分泌腺症消化管障害X連鎖症候群 (IPEX) など。
単一遺伝子の異常によるSLE様の疾患は、補体C1q、C2、C4の欠損や、3'->5'DNAエキソヌクレアーゼをコードするTREX1変異によって起きる



Recently, the influence of epigenetic mechanisms in autoimmune diseases has been investigated in multiple studies.
最近、自己免疫疾患におけるエピジェネティックなメカニズムの影響が多くの研究で調べられている。

Epigenetic modifications can influence gene expression, thereby altering cellular function without modifying the genomic sequence [3].
エピジェネティックな修飾は遺伝子の発現に影響することが可能で、それにより遺伝子の配列を変更することなく細胞の機能を変える。

They play a central role in controlling tissue and signal specific gene expression and are responsible for the determination of defined gene expression profiles of tissues and cellular subsets, such as tissue specific cytokine expression of the T helper subsets [3].
それらの修飾は組織とシグナルに特異的な遺伝子発現の制御において中心的な役割を演じ、組織と細胞サブセットの遺伝子発現の特徴を決定させる (例えば、ヘルパーT細胞サブセットによる組織特異的なサイトカイン発現など)。

※subset: サブセット、部分集合。機能によって分類される細胞の集団。リンパ球のサブセットとしてT細胞、B細胞、NK細胞があり、さらにT細胞はTh1、Th2、Th17、Th22、制御性T細胞 (Treg) などのサブセットに分けられる

※tissue specific cytokine expression of the T helper subsets: 参照先 [3] によれば、リーシュマニア属の一種、ドノバンリーシュマニアは脾臓と肝臓、骨髄のマクロファージに慢性的に寄生して内臓リーシュマニア症 (visceral leishmaniasis)を引き起こすが、脾臓では免疫を抑制するサイトカインのIL-10がCD25非陽性T細胞に強く発現している (CD4+CD25+FoxP3+TregはIL-10の源ではない)。IL-10をノックアウトすると、そのリーシュマニアは除去される
IL-10はCD4陽性T細胞 (Th1、Th2、Th17、Treg)、CD8陽性T細胞、抗原提示細胞 (APC)、NK細胞、B細胞など様々な細胞に発現し、T細胞ではIL-12とIL-12ホモログのIL-27がIL-10を発現させ、NK細胞でもIL-2とIL-12が相乗的 (synergistic) にIL-10を発現させる。
IL-10プロモーター/プロモーター隣接領域 (proximal promoter region) に結合する転写因子はSp1、Sp3、CREB、Stat1、Stat3で、MAPKのp38、ERKによってSp1がプロモーターにリクルートされる経路もある。
それに加えてIL-12によってStat4が (NK細胞, T細胞)、IL-2によってStat5が (Treg) IL-10遺伝子内の4番目イントロンの非コード保存配列 (conserved non-coding sequence; CNS) のStatモチーフに結合してIL-10を誘導する。
さらにIL-10のエピジェネティックな制御としてクロマチン構造の変化がある。T細胞では、GATA3は通常はIL-10プロモーターをトランス活性化しないが、Th2ではプロモーターに結合する。
APCでは、ヒストン脱アセチル酵素のHDAC11がIL-10発現を抑制的に (negatively) 調節する。マクロファージでは、FcγR刺激によりERK依存的にヒストンがリン酸化されて、IL-10プロモーターにSp1がリクルートされる。
サイトカインの発現にはDNAメチル化も関与し、IL-4を発現するTh2ではIL-4遺伝子の調節領域が脱メチル化し、IFN-γを分泌するTh1ではIFN-γが脱メチル化している。
IL-2で刺激した制御性T細胞では、IL-10遺伝子でStat5が結合する箇所である4番目イントロンのCpGメチル化が関与する
IL-10を発現する末梢血単核球 (PBMC) ではIL-10プロモーターのメチル化が減少し、IL-10のmRNA発現とプロモーターのメチル化は逆相関する。関節リウマチ患者 (RA) のPBMCではIL-10プロモーターがメチル化している頻度が高く (RA患者の85.29% vs 健康群の43.33%)、IL-10プロモーターのメチル化と関節炎を起こしている関節の数は統計的に関連した




It is becoming clear that epigenetic mechanisms contribute to a variety of disorders, including autoimmune diseases.
エピジェネティックなメカニズムが自己免疫疾患を含めた様々な疾患の一因であることが明らかになってきている。

Environmental factors can modify epigenetic marks, influencing disease onset and progression.
環境的な要因はエピジェネティック・マーク (目印) を変化させ、疾患の発症と進行に影響を与える可能性がある。

Three main epigenetic processes are in the center of epigenetic control: DNA methylation, nucleosome repositioning by histone modifications, and micro-RNAs (miRNAs) [4].
三つの重要なエピジェネティックな作用が、エピジェネティックな制御の中心にある。
すなわち、DNAメチル化、ヒストン修飾によるヌクレオソーム再配置、そしてマイクロRNA (miRNA) である。
[PR]

by travelair4000ext | 2013-12-04 10:05 | 翻訳  

<< 自己免疫疾患の原因03 自己免疫疾患の原因01 >>