自己免疫疾患の原因04

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Further autoimmune diseases associated with epigenetic alterations
エピジェネティックな変化と関連するSLE以外の自己免疫疾患





In addition to SLE, other autoimmune diseases have been shown to be associated with epigenetic alterations and impaired gene expression.
SLEに加えて、他の自己免疫疾患もエピジェネティックな変化ならびに遺伝子発現の異常と関連することが示されている。

Several complex diseases are currently the focus of intensive research.
いくつかの複雑な疾患が現在、集中的に研究されている。

Epigenetics will presumably gain even more importance in understanding multifactorial disorders and fill the gap between the genomic predisposition of an individual and the development of a specific disease phenotype.
エピジェネティクスはおそらく多因子疾患を理解する際によりいっそう重要になり、個人のゲノムの素因と特定の疾患表現型との間の溝を埋めるだろう。



Rheumatoid arthritis is a systemic autoimmune disease that results in the destruction of affected joints.
関節リウマチは全身性の自己免疫疾患であり、冒された関節は結果として破壊される。

Similar to SLE, the pathogenesis is complex and not completely understood.
SLEと同様に病理の発生は複雑で、完全には理解されていない。

It has been suggested that genetic risk factors (HLA-DRB1*0401, *0404, PTPN22) in concert with environmentally induced (epigenetic) alterations result in immune-dysregulation [12–14].
遺伝的なリスク要因 (HLA-DRB1*0401、DRB1*0404、PTPN22) は、環境的に引き起こされる (エピジェネティックな) 変化と協力して免疫の調節を失わせる結果になることが示唆されている。

※(epigenetic) alterations: [12] によれば、関節リウマチの滑膜線維芽細胞ではDNAメチル化が低下し、ヒストンの過剰アセチル化が起きて、特定のmicroRNAの発現が増加している



Systemic scleroderma is a rare condition of unknown origin that shows characteristics of autoimmune diseases with over-expression of pro-inflammatory cytokines, progressive vasculopathy, and excessive collagen-deposition [13].
全身性強皮症は原因が未知のまれな疾患で、自己免疫疾患の特徴を示す。
炎症性サイトカインの過剰発現、進行性の血管症、そして過剰なコラーゲン沈着を伴う。

※excessive collagen-deposition: 強皮症では、線維芽細胞でタイプIコラーゲン産生を抑制する転写因子FLI1の発現が低下している。FLI1のプロモーターにはCpGが存在するため、メチル化によりエピジェネティックに調節されている可能性が間接的に示唆される [13]

Because a high prevalence of systemic scleroderma in specific geographic locations has been reported, environmental factors, particularly inhaled chemicals, are suggested to play a role in disease pathogenesis[15].
全身性強皮症は地理的に特定の位置で有病率が高いことが報告されており、環境因子、特に化学物質の吸入が疾患の発生において役割を演じていることが示唆される。

※inhaled chemical: [15] には化学物質についての記述が見当たらない。検索すると、ケトン、エポキシ樹脂、ホワイトスピリット、溶接煙、有機溶剤などの化学物質、または二酸化ケイ素 (シリカ silica/ 石英 quartz) の粉末を吸入したり、ケイ素 (シリコン silicon) を体内に埋め込むことで強皮症などの自己免疫疾患を発症するリスクがあるようだ。粒子状物質はファゴリソソーム (phagolysosome; 食胞水解小体) を傷害して免疫に作用する



Multiple sclerosis is a chronic inflammatory disease that results in myelin destruction and subsequent neurodegeneration.
多発性硬化症は慢性的な炎症性疾患で、有髄神経線維の髄鞘 (ずいしょう) を構成するミエリンが破壊され、次に神経変性が続く。

Etiology and pathophysiology are complex with genetic predisposition (MHC complex), polygenic inheritance with incomplete penetrance, environmental risk factors, and temporal and special dynamics[16–18, 28].
その病因と病理発生は、遺伝的な素因 (MHC複合体)、不完全な浸透度の多因子遺伝 (PAD2等)、環境的なリスク要因 (性や加齢等)、そして一時的で特有な変動の複合体である。

※etiology: 病因。疾患の原因

※pathogenesis: 病理発生。病因から疾患の発現にいたる種々の過程

※polygenic inheritance: 多因子遺伝。単独では弱い多くの遺伝子が互いに補って一つの同じ形質を発現すること。ポリジーン遺伝

※dynamics: 力学、動力学、力に応答する運動。変動。変化/成長/発達の型または歴史

※environmental risk factors: MS患者の白質ではアルギニン残基をシトルリンに変える反応を触媒するタンパク質アルギニンデイミナーゼ2 (PAD2) が増加し、PAD2プロモーターのCpGメチル化は3分の1 (one-third) に低下していた。白質でのDNA脱メチル化酵素の活性は通常と比べて2倍だったが、同じMS患者の胸腺から得たDNAではメチル化は低下していなかった [17]



Type 1 diabetes is a T lymphocyte mediated autoimmune disease.
1型糖尿病はT細胞により仲介される自己免疫疾患である。

While susceptibility genes have been reported (MHC class II, insulin, PTPN22, CTLA4, IL-rRA), increasing evidence support the idea that additional, namely, environmental factors are involved [13, 28].
いくつかの感受性遺伝子 (MHCクラスII、インスリン、PTPN22、CTLA4、IL-2RA) が報告されているが、「付加的な」要因、つまり環境的な要因が関与するという概念を支持するエビデンスが増えつつある。

※increasing evidence: 参照先 [13] によれば、フィンランドでは1型糖尿病 (T1D) が年間10万人当たり12人から63人へ5倍以上に増加したが、この増加はMHCのデータと一致しなかった。ヨーロッパ全体でも2003年までの15年間でT1Dが増加した
[13] にはさらに、「グルコースとインスリンは、ホモシステインとホモシステイン再メチル化を増加させると同時に、硫黄転移/含硫置換基移動 (transsulfuration) によるホモシステイン消去/システイン形成を減少させる。ホモシステインは再メチル化されメチオニンを形成してSAMに変換され、メチル化反応のメチル基の供給元になる」とある

※IL2RA (Interleukin-2 receptor alpha chain; CD25):
IL-rRAは誤植だろう。参照先の [13] が参照している [117] では、T1Dのリスクlociの一つとしてIL2RA (CD25) が挙げられている。実際、IL2RAはT1Dと関連するようだ (IL2RAの多型はTregのFoxP3発現と機能を低下させ、自己反応性エフェクターT細胞の増殖を抑制する能力を減少させる)




Sjogren’s syndrome is an autoimmune disease that affects salivary and lacrimal glands, causing symptoms of xerophthalmia and/or xerostomia.
シェーグレン症候群は唾液腺と涙腺が冒される自己免疫疾患で、眼球乾燥症と口腔乾燥症のどちらかまたは両方の症状を引き起こす。

A subset of patients with SLE, rheumatoid arthritis, or scleroderma exhibit clinical features that overlap with Sjogren’s syndrome (secondary Sjogren’s syndrome).
SLEや関節リウマチ、または強皮症の患者の一部は、シェーグレン症候群と重複する臨床的特徴を示す (二次性シェーグレン症候群)。

※secondary: 二次性の、続発性の。シェーグレン症候群は二次性と、合併のない原発性に分類される



Regardless of a large number of attempts to find genetic and environmental factors that cause the disease, the pathogenesis remains unknown [13].
自己免疫疾患を引き起こす遺伝的要因・環境的要因を見つけようとする多くの試みにもかかわらず、病因は不明のままである。



※参照先 [13] でも自己免疫疾患でのエピジェネティックな変化が表にまとめられている

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by travelair4000ext | 2013-12-07 19:11 | 翻訳  

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