自己免疫疾患の原因06

In SLE, a generally hypomethylated state of T and B lymphocyte genes has been reported [4, 19].
SLEでは、Tリンパ球とBリンパ球の遺伝子が全体的にメチル化が低下した状態であることが報告されている。




CD4+ but not CD8+ T lymphocytes from SLE patients have recently been reported to display gene hypomethylation when compared with normal controls [4, 19].
SLE患者のCD4陽性Tリンパ球は正常なコントロール群と比較して、遺伝子のメチル化の低下を示すことが最近報告されている (CD8陽性Tリンパ球では低下していなかった)。

The degree of hypomethylation correlates with disease activity, and numerous methylation-sensitive genes are overexpressed in lupus CD4+ T cells: cytokine genes (IL4 [20], IL6 [21], IL10, and IL13 [22]) and co-stimulatory molecules (CD70/CD26L [23], CD6 [24], CD11A [25], and CD40L/CD154 [26]).
メチル化の低下の度合いは疾患の活動性と相関関係にあり、ループス (狼瘡) のCD4陽性T細胞では、非常に多くのメチル化に敏感な遺伝子が過剰に発現する。
例えば、サイトカイン遺伝子 (IL4IL6IL10IL13)、補助刺激分子 (CD70/CD27LCD6CD11ACD40L/CD154)。

※IL6: [21] には、IL-6がFoxP3上流のエンハンサー配列のCpGをメチル化してnTregでのFoxP3発現をSTAT3依存的に阻害する、という内容しか書かれていないようだ

※CD6: T細胞表面の糖タンパク質。リガンドはCD166

※CD70/CD27L (TNFSF7): 本文ではCD26Lだが、CD27Lだろう (CD26はDPP4)。樹状細胞 (DC) やヘルパーT細胞に発現している補助刺激分子のCD70は、ナイーブT細胞やB細胞に発現しているCD27にリガンドとして結合して相互作用する (CD27のリガンド; CD27Ligand)

※CD40L/CD154: 活性化ヘルパーT細胞に発現するCD154は、B細胞や樹状細胞に発現するCD40にリガンドとして結合して相互作用する (CD40のリガンド; CD40Ligand)

※CD11A (LFA-1): リンパ球や単球などに発現する、インテグリンLFA-1のαLサブユニット。CD11aはCD18 (β2サブユニット) と共に、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3と結合する






SLE-associated DNA hypomethylation results in an overexpression of CD8+ T lymphocyte and NK cell-specific perforin (PRF1) [27, 28], stimulatory and inhibitory killer-cell-Ig-like-receptor (KIR) [29], and the serin/threonine protein-phosphatase gene PP2A [30, 31].
SLEと関連するDNAの低メチル化により、CD8陽性T細胞とNK細胞に特有のパーフォリン (PRF1) 、刺激性・抑制性のキラー細胞免疫グロブリン様受容体 (KIR)、そしてセリン/スレオニンタンパク質フォスファターゼ遺伝子のPP2Aが過剰に発現する結果になる。

※stimulatory and inhibitory KIR: 刺激性KIR、抑制性KIR。KIRにはITIMを含む長い細胞質の尾部を持つ抑制性KIRと、短い細胞質の尾部を持つ刺激性KIRの二種類がある。KIRのリガンドはHLAクラスI



The expression of CD5 on the surface of B lymphocytes is reduced in SLE, secondary to hypomethylation of an intracellularly expressed truncated CD5 variant (CD5-E1B).
Bリンパ球の細胞膜上のCD5の発現がSLEでは減少しているが、これは細胞内で発現する短縮化CD5バリアント (CD5-E1B) の低メチル化に引き続いて見られる。

※variant: バリアント。変種、変異型。CD5には細胞膜に発現するCD5-E1Aと、リーダーペプチド (leader peptide) を欠くため細胞膜にトランスロケーションされず細胞質に留まるCD5-E1Bという二つのアイソフォームが存在する。SLE患者のB細胞から大量に分泌されるIL-6は、B細胞のDNMT1誘導を阻害してDNAメチル化の能力を低下させる [32]

Reduced CD5 expression on the cellular surface promotes autoreactivity [32].
B細胞表面のCD5-E1A発現の減少は、自己反応性を促進する。

※CD5: 通常のB細胞をB-2細胞と呼ぶのに対して、CD5を発現するB細胞をB-1細胞という。細胞質CD5-E1B発現の増加は、抗原によるBCR活性化の閾値を低下させて自己反応性を促進する [32]






The involvement of DNA methylation in X-chromosomal silencing and sex chromosomal balance provides a potential explanation for the female predominance in SLE [32].
X染色体サイレンシングならびに性染色体のバランスにDNAメチル化が関与していることは、SLEに女性が多いことを説明できる可能性がある。

Females are characterized by partial suppression of X-chromosomal activity by methylation of specific regions (Figure 1B) [33].
女性は、特定の領域のメチル化によってX染色体の活性が部分的に抑制されていることが特徴である (Figure 1B)。

This mechanism contributes to the balancing of copy number differences of X-chromosomal genes between females and males.
女性と男性ではX染色体にある遺伝子のコピー数が異なる。
このメチル化のメカニズムは、男女間でのそうしたバランスを取ることに寄与している。

CD40 ligand is a B lymphocyte costimulatoy molecule, and is encoded on the X-chromosome.
CD40リガンドはBリンパ球を活性化する際の補助刺激分子であり、それはX染色体にコードされている。

It is overexpressed in CD4+ T lymphocytes from female SLE patients, and contributes to the expression of pathogenic antibodies.
女性SLE患者のCD4陽性Tリンパ球ではCD40リガンドが過剰に発現されており、それが発病の原因となる抗体発現の一因である。

Hypomethylation of the inactivated X-chromosome in CD4+ T cells of female SLE patients, and experimental demethylation with 5-azacytidine, results in over-expression of CD40 ligand.
女性SLE患者のCD4陽性T細胞における不活性なX染色体の低メチル化、ならびに実験的な5-アザシチジンによる脱メチル化は、どちらもCD40リガンドの過剰発現という結果になる。

CD4+ T lymphocytes from male SLE patients and 5-acazytidine treated CD4+ T lymphocytes from men did not show increased CD40 ligand expression due to the fact that the male X-chromosome is demethylated under physiological conditions [26].
男性SLE患者からのCD4陽性Tリンパ球、ならびに男性からの5-アザシチジンで処理したCD4陽性Tリンパ球は、どちらもCD40リガンドの発現の増加は示さなかったが、それは男性のX染色体が生理的状態下で脱メチル化されているという事実のためである。

※over-expression of CD40 ligand: 男性では26パーセントの増加だったのに対し、女性では116パーセント増加した [26]

※5-azacytidine: 5-アザシチジン。シトシン塩基の5位の炭素原子を窒素原子に置換したもの。骨髄異形成症候群の治療薬として使われる (ビダーザ)






Further evidence for the involvement of reduced DNA methylation in SLE has been provided by a study that investigated disease discordant monozygotic twins [18].
疾患に差がある一卵性双生児の研究により、SLEではDNAメチル化の低下が関与するというさらなるエビデンスが得られている。

※discordant twin: ディスコーダント・ツイン。発育差などの不均衡がある双子。monozygotic 「一卵性の」

Diseased twins presented with significantly reduced CpG-DNA methylation when compared to their healthy siblings.
病気にかかった双子は、健康なきょうだいと比較すると、CpGのDNAメチル化が著しい減少を示した。

This was accompanied with changes in DNA methylation and the expression of ribosomal RNA genes that were independent of changes in repetitive sequences [18].
この減少にはリボソームRNA遺伝子のDNAメチル化の変化、ならびに発現の変化が伴ったが、反復配列における変化とは関係がなかった。

※repetitive sequences: Alu、LINE-1、Satellite2などの反復配列。ヒトのメチル化シトシンのほとんどは、ヒト全ゲノム中の45パーセントを占める反復配列中の、CpGが多い配列の中にある。癌などの疾患ではこれら反復配列中のメチル化の状態は変化するが、SLEでは一卵性の双子で反復配列中のCpGメチル化に違いは見られなかった
しかし、リボソームRNAではメチル化の状態に違いが見られ、一卵性の双子でSLEの患者はメチル化が低下していた
研究者たちはリボソームの増加がそれらへの自己抗体の生成を刺激するのだろうと推測している ("that might stimulate the generation of auto-antibodies against them. " [18])
 


 
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by travelair4000ext | 2013-12-11 14:10 | 翻訳  

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