自己免疫疾患の原因15

The close involvement of miRNAs in multiple regulatory mechanisms of cell-differentiation and immune-regulation comprises a huge potential for cell dysfunction and expression of disease pathology.
細胞の分化と免疫の制御を調節する多くのメカニズムに、miRNAは密接に関与する。
このことは細胞の機能不全、ならびに疾患の病理の発現にとって巨大な可能性を持つ。




Still, the number of miRNAs that seem to be associated in the pathogenesis of patients with SLE and lupus-prone mice remains limited.
それでも、SLE患者とループス自然発症マウスの病理発生に関与すると思われるmiRNAの数は限られたままだ。

The groups of miRNAs identified so far are involved in 1) the regulation of innate immunity (miR-146a) by abnormal activation of the type I interferon pathway [83], 2) inflammatory responses (miR-125a) by suppressing KLF13 and RANTES [84], and 3) DNA methylation (miR-21 and miR-148a) [70, 85].
今までに同定されたmiRNAのグループは、以下の反応に関与する。

1) 自然免疫の調節 (miR-146a)。タイプIインターフェロン経路の活性化の異常。
SLEではmiR-146aの発現は抑制される。miR-146aはタイプIインターフェロンのトランス活性化を直接抑制し、さらにインターフェロン調節因子5 (IRF5) とSTAT-1を標的にする可能性がある。miR-146aの発現が低下するほど、インターフェロンのスコアは上昇し、SLEの臨床的な疾患活動性は上昇した。[83]

2) 炎症性の応答 (miR-125a)。KLF13とRANTESの抑制。SLEではmiR-125aは抑制され、KLF13とRANTESは増加する。[84]

3) DNAメチル化 (miR-21とmiR-148a)。miR-21はDNMT1の上流のRas-MAPK経路を仲介するRASGRPを介して、間接的にDNMT1発現を抑制する。miR-148aは転写物のタンパク質をコードする領域を標的にすることで、直接DNMT1の発現を抑制する。SLEではmiR-21とmiR-148aがどちらも過剰に発現しており、DNMT1の発現は抑制される。[85]

※[70] のTable2を見ると、ヒトSLEで過剰に発現するmiRNAはmiR-638、miR-663、miR-371-5p、miR-423-5p、miR-21、miR-148a。
抑制されるmiRNAはmiR-125a、miR-1224-3p、miR-146a



To date, miR-17-92 mice, which over-express miR-17-92 in B and T lymphocytes, are the only available murine miRNA model system that displays SLE-like manifestations [86].
今までのところ、Bリンパ球とTリンパ球でmiR-17-92クラスターを過剰発現するマウスは唯一利用可能なマウスのmiRNAモデル系であり、このマウスはSLE様の徴候を示す。[86]

Mice that ectopically express the human miR-17-92 cluster develop generalized lymphoproliferative disease with increased numbers of activated CD4+ T lymphocytes, antigen-experienced CD4+ and CD8+ T lymphocytes, B1a, and germinal-center B lymphocytes.
ヒトmiR-17-92クラスターを異所性に発現するマウスは、全身性のリンパ球増殖疾患を発症する。
このマウスでは、活性化CD4陽性Tリンパ球、抗原提示を受けたCD4陽性Tリンパ細胞とCD8陽性Tリンパ細胞、B-1a細胞、胚中心Bリンパ細胞が、それぞれ増加する。

※miR-17-92 cluster: 7個のmiRNAから成るクラスター (miR-17-5p、miR-17-3p、miR-18、miR-19a、miR-19b1、miR-20、miR-92)。[70]
このクラスターは13番染色体の長腕q31に位置し、リンパ腫や他の癌でもしばしば発現が増幅している [86]

※B-1a: B細胞にはコンベンショナルなB-2細胞と、抗体産生にT細胞のヘルプを必要としないB-1細胞がある。B-1細胞はさらにCD5陽性のB-1aと非陽性のB-1bに分けられる



Animals develop autoimmune phenomena with elevated anti-DNA antibody titers.
このマウスには抗DNA抗体の力価が上昇する自己免疫現象が起きる。

※anti-DNA antibody titers: 抗一本鎖DNA抗体と抗二本鎖DNA抗体の力価。miR-17-92トランスジェニックマウスでは、IgM、IgG2a、IgG2b、IgG3がそれぞれ上昇した。
通常、マウスではIFN-γの刺激でIgG2aが、IL-10でIgG3が、IL-4でIgG1が、それぞれ産生される。miR-17-92トランスジェニックマウスではIFN-γとIL-10が増加し、それに伴ってIgG2とIgG3の産生も増えているが、IgG1とIgAは増えていない


Pro-apoptotic-factors Pten and Bim are predicted targets of miR-17-92.
アポトーシス促進因子のPtenとBimが、miR-17-92クラスターの標的であると予想されている。

※Bim (BCL2-like11): Bcl-2ファミリーの一つで、アポトーシスを促進する。FoxO3aによって促進される (FoxO3a→Bim↑→アポトーシス↑)

Pten (Phosphatase and tensin homolog): ホスファターゼテンシンホモログ。PI3K/Akt経路はアポトーシスを抑制するが、PtenはPI3Kを脱リン酸化して阻害することによりアポトーシスを促進する

Pten and Bim levels were reduced in CD4+ T lymphocytes of miR-17-92 mice, suggesting that lymphocyte expansion may be caused by downregulation of these regulatory factors [86].
miR-17-92クラスター過剰発現マウスのCD4陽性Tリンパ細胞では、PtenとBimの濃度が減少した。
このことが示唆するのは、PtenとBimのような調節因子の抑制によって、リンパ細胞の増殖が引き起こされる可能性があるということだ。

※(clonal) expansion: クローン増殖。単一の細胞から増殖すること

※(CD4+) miR-17-92クラスター↑→アポトーシス促進因子Pten, Bim↓→アポトーシス↓→CD4+リンパ球増殖↑→抗体産生↑






There seems to be a strong interplay between miRNAs and other epigenetic control mechanisms.
miRNAと他のエピジェネティックな制御メカニズムとの間には、強い相互作用が存在するようだ。

Among the known genes regulated by miRNAs, there are several which are involved in the epigenetic regulation of cellular functions, including DNA methylation and histone modifications.
miRNAによって調節される既知の遺伝子の間には、DNAメチル化やヒストン修飾などエピジェネティックな細胞機能の調節に関与するものがいくつかある。

MiR-29 and miR-143 directly influence DNA methylation by regulating DNMT3a and DNMT3b-expression [87–89].
miR-29とmiR-143は、DNMT3aとDNMT3bの発現を調節することによりDNAのメチル化に直接影響する。



A recent study demonstrated the involvement of miR-126 in the regulation of DNA methylation in SLE CD4+ T cells by interaction with the 3′UTR of DNMT1.
最近の研究によりSLEのCD4陽性T細胞では、miR-126がDNMT1の3′UTRと相互作用することでDNAメチル化の調節に関与することが実証された。

Over-expression of miR-126 in CD4+ T cells resulted in demethylation of CD11A and CD70, causing T and B cell hyperactivity [90].
CD4陽性T細胞におけるmiR-126の過剰発現はCD11ACD70が脱メチル化する結果になり、それはT細胞とB細胞の過剰な活性化を引き起こした。

※CD70/CD27L (TNFSF7): CD70はCD27のリガンド







Recently, downregulation of miR-181-a in children with SLE was demonstrated, resulting in upregulation of the miR-181-a target gene P300/CBP-associated factor (PCAF).
最近、SLEを患う子どもでmiR-181-aが抑制的に調節されていることが実証された。
抑制の結果、その標的遺伝子であるP300/CBP関連因子 (PCAF) の発現が促進される。

※P300/CBP-associated factor (PCAF/KAT2B): PCAFはp300やCBP等と相互作用し、ヒストンアセチル基転移酵素としても機能する

It was proposed that upregulation of PCAF may impact ubiquitination levels of Hdm2, a negative regulator of tumor suppressor protein p53, resulting in the induction of apoptosis in children with SLE [91].
Hdm2は腫瘍抑制タンパク質p53を阻害する調節因子だが、PCAFの発現促進はHdm2のユビキチン化レベルに対して強い影響を与える可能性があり、その結果としてSLEの子どもでアポトーシスが誘導されていると提案された。[91]

※miR-181-a─┤PCAF─┤Hdm2─┤p53→アポトーシス

※(SLE) miR-181-a↓→PCAF↑→Hdm2ユビキチン化↑/Hdm2↓→p53↑→アポトーシス↑

※[91] では、SLEDAI (SLE Disease Activity Index) スコアが異なるグループ間でmiR-181-aの発現が著しく異なることが示された。健常者や家族性地中海熱と比較しても、SLE患者のmiR-181-aの発現の徴候は特有のものだった

※Mdm2: Mdm2はp53のN末端トランス活性化ドメインを認識するE3ユビキチンリガーゼとして機能し、p53転写活性化を抑制する。Mdm2は、複数箇所のリン酸化や、核からの排出制御、自己ユビキチン化によって調節される



MiRNA expression itself can be regulated by DNA methylation and histone modifications.
miRNAの発現はそれ自体が、DNAメチル化とヒストン修飾により調節され得る。

DNMT-inhibitors and HDAC-inhibitors have been shown to result in an upregulation of miRNA expression [28, 92, 93].
DNMT阻害剤とHDAC阻害剤は、miRNAの発現を促進する結果になることが示されている。






Several of the aforementioned miRNAs and others are involved in other autoimmune disorders and discussed in Box 3.
前述のmiRNAのいくつかとその他のmiRNAは、SLE以外の自己免疫疾患に関与する。
これはBox3/囲み記事3で論じる。
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by travelair4000ext | 2014-01-01 19:31 | 翻訳  

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