CREMαとSLE

CREMαについて気になったので、次のように検索をかけて、少しだけ訳してまとめてみました。


(CREM) AND Tsokos[Author - Full]





結果は20件でした。



01
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24297179
>cAMP responsive element modulator (CREM)α mediates chromatin remodeling of CD8 during the generation of CD3+CD4-CD8- T cells.

(SLEで見られるCD3+CD4-CD8-ダブルネガティブTは、CREMαが、DNAメチル基転移酵素のDNMT3aとヒストンメチル基転移酵素のG9aを、CD8AとCD8Bクラスターの非コード保存領域CNSにリクルートして、CD8+TからCD8の発現が低下することによる)






04
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23124208
>cAMP-responsive element modulator α (CREMα) contributes to decreased Notch-1 expression in T cells from patients with active systemic lupus erythematosus (SLE).

(SLEでIL-17Aが上昇するのは、CREMαがT細胞のNotch-1プロモーターに結合してプロモーター活性と転写を低下させることによる)

CREMα─┤Notch-1─┤IL-17A








05
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23019580
>cAMP response element modulator α controls IL2 and IL17A expression during CD4 lineage commitment and subset distribution in lupus.

(エフェクターメモリーCD4+Tにおいて誘導されるCREMαは、DNMT3aをリクルートしてIL2をメチル化するが、IL17Aプロモーターは脱メチル化してトランス活性化することで発現を制御する)

SLEでは、ナイーブCD4+>エフェクターメモリーCD4+>セントラルメモリーCD4+
通常は、ナイーブCD4+>セントラルメモリーCD4+>>エフェクターメモリーCD4+

ナイーブCD4+T: CCR7+ CD45RA+
セントラルメモリーCD4+T: CCR7+ CD45RA-
エフェクターメモリーCD4+T: CCR7- CD45RA-

CCR7のリガンドはCCL19とCCL21なので、発現しているとリンパ節のDCに呼ばれます。
CD45RAは活性化した後は、CD45ROに発現が変化。








06
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22281835
>Estrogen upregulates cyclic AMP response element modulator α expression and downregulates interleukin-2 production by human T lymphocytes.

(エストロゲンはCREMαの発現を促進し、ヒトTリンパ細胞によるIL-2の産生を抑制的に調節する)

女性のT細胞ではエストロゲン (17-β-estradiol) によって用量依存的にSp1が誘導されてCREMαのプロモーターに結合し、IL-2の発現が抑制され、IL-17Aの発現が促進されます。





07
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22184122
>cAMP-responsive element modulator α (CREMα) suppresses IL-17F protein expression in T lymphocytes from patients with systemic lupus erythematosus (SLE).

(CREMαはIL-17Fを抑制するが、IL-17Aは促進して、IL-17A/IL-17Fヘテロダイマーに比べて炎症を起こす活性が高いIL-17Aホモダイマーの形成を増大させる)








08
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22025620
>cAMP-responsive element modulator (CREM)α protein induces interleukin 17A expression and mediates epigenetic alterations at the interleukin-17A gene locus in patients with systemic lupus erythematosus.

(CREMαタンパク質はIL-17Aの発現を誘導し、SLE患者のIL17A遺伝子座でのエピジェネティックな変化を仲介する)

IL17A遺伝子には保存配列が3つ存在し (conserved noncoding sequence; CNS1, proximal promoter; PP, CNS2)、それらがSLEでは脱メチル化している。







09
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21976679
>cAMP-responsive element modulator (CREM)α protein signaling mediates epigenetic remodeling of the human interleukin-2 gene: implications in systemic lupus erythematosus.

(CREMαタンパク質シグナルは、ヒトIL-2遺伝子のエピジェネティックなリモデリングを仲介する。そのSLEとの関連)

ヒトとマウスのIL2遺伝子座には非コード保存配列 (CNS) が4つあり、その中にCRE配列がある。








10
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21757709
>A novel intronic cAMP response element modulator (CREM) promoter is regulated by activator protein-1 (AP-1) and accounts for altered activation-induced CREM expression in T cells from patients with systemic lupus erythematosus.

(新しく発見したCREMイントロン内プロモーター は、活性化タンパク質-1 (AP-1) によって調節される。
これはT細胞活性化によるCREM発現がSLE患者で変化している原因である。)

次の図がわかりやすいと思います。



CREMαの転写開始点はP1と、イントロン内のP2という2つがある。
通常の転写は、第2エクソン前のイントロン内にあるTATA配列とAP-1結合配列によりP2から開始される。
つまりT細胞が活性化して、CD3とCD28の刺激によりAP-1の形成が増大することで初めて転写が活発になる。

SLEではPP2A↑でSP-1の脱リン酸化によりP1からの転写が活性化するため、T細胞が活性化する前から、既にCREMαの発現が増大している。
CREMαはc-fosの発現をトランス抑制するため、AP-1の形成が低下してP2からの転写は阻害されてしまい、本来の「T細胞の活性化に応じたCREMα発現」が低下する。


PP2A↑になる経路は、以前に翻訳しました。
http://ta4000.exblog.jp/18998938
(SLE T) ERK-1/2↓→DNMT1↓→DNAメチル化↓, pCREB結合↑→PP2Acα↑, IL-2↓, LFA-1↑, CD70↑, c-fos↓, AP-1↓



CD28については以前にやっています。
http://ta4000.exblog.jp/19177725
T細胞によるIL-2の産生には、補助刺激分子のCD28が重要。CD28の刺激は、p300/CBP分子がfosプロモーターへトランスロケーションされるのを促進する。p300/CBPはfosプロモーターのヒストンH4アセチル化を促進し、RNAポリメラーゼIIの結合を促進する。
FosはJunと会合して転写因子AP-1を形成し、NFATと共にIL-2産生を誘導して、T細胞をアナジーから救う (AP-1が形成されないとNFATはT細胞をアナジーに至らせる)。

CREMαはそのHドメインにより、HDAC1をIL2プロモーターとfosプロモーターのCRE箇所 (TGACGTCA) に呼び寄せることが示された。
このHDAC1のリクルートはヒストンの脱アセチル化を引き起こす。







11
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21097497
>Transcriptional activation of the cAMP-responsive modulator promoter in human T cells is regulated by protein phosphatase 2A-mediated dephosphorylation of SP-1 and reflects disease activity in patients with systemic lupus erythematosus.

(ヒトT細胞におけるCREMプロモーターの転写活性化はPP2AによるSP-1の脱メチル化によって調節され、それはSLE患者の疾患活動性を反映する)



PP2A─(Ser59脱リン酸化)→SP-1↑→CREM↑─┤IL-2, TCRゼータ鎖




11番目が2011年で、12番以降は2009年以前なのでここまでにしておきます。




肉食の過多がホルモンの合成と摂取につながりSLEのリスクになるのでは?と前回書きましたが、そもそも葉酸等によるメチル基の供与が不足していればメチル化のしようがありません。
最近、母親だけでなく父親の葉酸不足も子どもに影響するという研究がありました。母親のメチル基の摂取不足が子どもに影響するのはviable yellowアグーチマウスの実験で示されていますが、父親の摂取不足もそれに関係するということのようです。





http://www.nature.com/ncomms/2013/131210/ncomms3889/full/ncomms3889.html

>Low paternal dietary folate alters the mouse sperm epigenome and is associated with negative pregnancy outcomes.

(父親の食事による葉酸不足はマウスの精子エピゲノムを変化させ、ネガティブな妊娠の結果と関連する)



その中には、こんな一文があります。

>In humans, obesity and its metabolic sequelae are known to alter folate metabolism. [17]
(ヒトでは肥満とその代謝への後遺症として、葉酸の代謝を変化させることが知られている。[17])



肥満も葉酸の代謝に影響する、という文の参照先 [17] の要旨は、次のようなものです。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17457338

>Measures of adiposity and body fat distribution in relation to serum folate levels in postmenopausal women in a feeding study.
(摂食研究において、閉経後女性の血清葉酸レベルと関連して肥満ならびに体脂肪配分を計測する)

閉経後の過体重 (BMIが25から30未満) の女性は血清中の葉酸の濃度が12パーセント低く、肥満の女性 (BMIが30以上) は22パーセント低かった。
 BMIの増大にしたがってビタミンB12も減少した。
 BMIの増大、体脂肪率、体中心と末梢の脂肪の絶対量は全て、血清中の葉酸の減少と有意に関連した。


数字を見ると、確かに肥満女性では血清中の葉酸が明らかに減少しています。
BMIが25以下の女性では血清1ミリリットルあたりの葉酸は平均18.67ナノグラムですが、過体重では16.58ナノグラムになり、肥満だと14.57ナノグラムでした。
(血清濃度は体内の葉酸の量を反映していると考えていいそうです)

論文を少し読んでみると、葉酸の摂取やビタミンB12の濃度は乳癌のリスクと逆相関するとあります。
その理由として、DNAの安定性の維持に関係するためだろう、とあります ("Folate and vitamin B12 are critical for the maintenance of DNA stability")。

しかし、この論文を引用する別の研究ではビタミンのサプリメントが癌のリスクを下げるかどうかは明確ではないとあるので、やはり野菜などの食品から摂取するのがいいということなのでしょう。
一気に血液中の濃度が上がるのが自然な代謝につながるはずがないので当然といえば当然ですが、他にも理由はありそうです。



もちろん肥満が女性だけに影響するというのも考えにくいので、男性も肥満の影響を受けると考えた方がいいでしょう。
結局、男性も女性もきちんとした食生活と運動習慣を普段から心がける必要があるということのようです。

それでは。
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by travelair4000ext | 2014-01-08 11:12 | 翻訳  

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