人気ブログランキング | 話題のタグを見る

にきびが必ず治る薬34

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3219165/#__sec33title

FoxOs and the Chemopreventive Effect of Isotretinoin
イソトレチノインによる化学的予防効果とFoxO




Isotretinoin is used as an adjunct in the treatment of pediatric patients with neuroblastoma, acute promyelocytic leukemia and chemoprevention of high-risk patients with non-melanoma skin cancer.275-279
イソトレチノインは、神経芽細胞腫と急性前骨髄球性白血病の小児科患者の治療の補助薬として、また非メラノーマ皮膚がんハイリスク患者の予防的化学療法としても使われる。

※neuroblastoma: 神経芽細胞腫。乳児と小児の副腎髄質、交感神経節、後縦隔、後腹膜などから発生し、急速に転移する悪性腫瘍

※acute promyelocytic leukemia (APL): 急性前骨髄球性白血病。急性骨髄性白血病のうち、前骨髄球の段階で成熟停止を起こした型で、ミエロペルオキシダーゼ (MPO) 活性がほぼ100パーセントで陽性。全ての症例で、15番染色体のPML遺伝子と17番染色体のRAR-α遺伝子の融合遺伝子が確認され、ATRAの経口投与によりほぼ完全に寛解する

※chemoprevention: 予防的化学療法。細胞の悪性化の進行を阻害する薬剤などを使用すること

Isomerization of the “prodrug” isotretinoin to ATRA is proposed to be of importance for isotretinoin's superior antitumor activity in neurobalstoma in comparison to treatments with ATRA.280
神経芽細胞腫ではATRAでの治療と比較してイソトレチノインの抗腫瘍活性はとても優れているが、それには「プロドラッグ」であるイソトレチノインからATRAへの異性化が重要であると提案されている。

There is recent evidence that isotretinoin induces gene expression and apoptosis in cancer cell which clearly resemble the transcriptional activity of FoxO proteins.
イソトレチノインが癌細胞に遺伝子発現とアポトーシスを誘導するという新しいエビデンスが存在するが、それはFoxOタンパク質の転写活性と明らかに似ている。

For example, isotretinoin mediates apoptosis in Dalton's lymphoma ascites cells by regulating gene expression with upregulation of caspase-3 and downregulation of bcl-2 expression.281
たとえば、イソトレチノインはDaltonリンパ腫腹水細胞におけるアポトーシスを仲介するが、その作用は遺伝子発現の調節によるものであり、カスパーゼ3の発現促進ならびにbcl-2の発現抑制を伴う。

※Dalton's lymphoma: マウスのT細胞リンパ腫

※ascites: 腹水。腹膜腔内に生理量を超えて貯留している液体のことで、臨床的に1リットル以上が貯留すると腹水と診断する。化学的性状から見て、血液からのろ過成分が主の漏出液と、腫瘍や炎症が原因の浸出液に分けられる

Similarly, in B16-F10 melanoma cells isotretinoin induces apoptosis and upregulates caspase-3, the tumor suppressor p53 and downregulates bcl-2.282
同様に、B16-F10メラノーマ細胞においてイソトレチノインはアポトーシスを誘導し、カスパーゼ3と腫瘍抑制因子p53の発現を促進し、bcl-2の発現を抑制する。

※B16-F10 melanoma cells: マウスの悪性黒色腫、B16の系列の一つ。F10は転移能が高い

Gene and protein expression profiling during differentiation of neuroblastoma cells triggered by isotretinoin exhibited a down-regulation of N-myc, cyclin D3 and Wnt10B.283
イソトレチノインは神経芽細胞腫細胞の分化を引き起こすが、その間の遺伝子とタンパク質の発現の分析では、N-myc、サイクリンD3、Wnt10Bの発現抑制を示した。






Is the chemopreventive effect of retinoids in certain tumors related to their ability to induce increased expression of FoxO proteins which are known to lead to apoptosis and block cell cycle progression?11,14,15,80
FoxOタンパク質の発現上昇はアポトーシスにつながり、細胞周期の進行を阻止することが知られている。
ある種の腫瘍におけるレチノイドの化学的予防効果は、そのFoxOの発現上昇を誘導する能力に関連するのだろうか?

For example, FoxO3a and FoxO4 can promote cell cycle arrest in mouse myoblastic cell lines through modulation of growth arrest and DNA-damage-response protein 45 (GADD45).284,285
たとえば、FoxO3aとFoxO4は「成長停止ならびにDNAダメージ応答タンパク質45 (GADD45)」の調整を通して、マウスの筋芽細胞の系列において細胞周期の停止を促進することができる。

※growth arrest and DNA-damage-response protein 45 (GADD45): GADD45αのこと。p53によって発現が促進され、NF-κBとc-mycによって抑制される

Other work suggests that FoxO proteins utilize the p53 upstream regulator p19(Arf) through myc to block cell cycle induction and lymphoma progression.286
他の研究では、FoxOタンパク質がp53の上流にある調節因子のp19(Arf) をmycを通じて利用し、細胞周期の誘発とリンパ腫の進行を阻止することが示唆されている。

※p19 (Arf): 286参照。mycはPI3K活性を低下させ、さらにmycは酸化ストレスを誘導するので、FoxOは核内に局在して (比較的少ない量でも) p19を発現させてp53を調節する。つまりFoxOはmyc活性化のセンサーとして働く

In cell cultures, overexpression of FoxO1 and FoxO3a in prostrate tumor cell lines also leads to apoptosis, suggesting that FoxO1 and FoxO3a are necessary for limiting prostate cell tumor growth.287
前立腺腫瘍細胞系列の培養でのFoxO1とFoxO3aの過剰発現もアポトーシスにつながる。
このことが示唆するのは、FoxO1とFoxO3aは前立腺腫瘍細胞の成長を制限するために必要だということである。

In addition, it has been shown that inhibition of FoxO3a activity can result in enhanced prostate tumor cell growth while agents that increase FoxO3a activity in both androgen sensitive and androgen insensitive prostate cancer cell lines prevent prostate cancer cell progression.288
加えて、FoxO3a活性を阻害すると、前立腺腫瘍細胞の成長が促進される結果になり得ることが示されている。
一方、FoxO3a活性を増大させる試薬は、アンドロゲン感受性ならびにアンドロゲン非感受性の前立腺癌細胞系列のどちらでも癌の進行を阻止する。



Moreover, it has been shown that astrocyte-elevated gene-1 (AEG-1) can be upregulated in clinical prostate cancer.145
さらに、臨床上の前立腺癌ではアストロサイト上昇遺伝子-1 (AEG-1) の発現が促進され得ることが示されている。

※astrocyte: 星状膠細胞。神経細胞と血管の間に介在して物質交換に関わると推測される

This possibly leads to activation of Akt that suppresses FoxO3a and inhibits apoptosis in prostate tumor cells.289
前立腺腫瘍細胞でのAEG-1の促進はAktの活性化につながり、FoxO3aを抑制してアポトーシスを阻害するのかもしれない。



FoxO proteins can function as redundant repressors of tumor growth.
FoxOタンパク質は腫瘍の成長を強く抑制する因子として機能し得る。

For example, somatic deletion in mice of Foxo1, Foxo3a and Foxo4 results in the growth of thymic lymphomas and hemangiomas.290
たとえば、マウスの体細胞でFoxO1、FoxO3a、FoxO4を削除すると、胸腺リンパ腫ならびに血管腫が成長する結果になる。

※somatic: 体腔の。(生殖細胞と区別して) 体細胞の

※hemangioma: 血管腫。血管組織が異常に増殖する良性の腫瘍

※deletion result: 290参照。上皮細胞のPBX1ならびに腫瘍抑制因子Sprouty2はFoxOの標的遺伝子であり、その発現が低下することで血管腫が起きるとしている。
Sproutyはチロシンキナーゼ受容体シグナルの阻害因子であり、RAS-RAF-MEK経路を低下させる (Sprouty1-4 are general inhibitors of RTK signalling that function by dampening the RAS-RAF-MEK pathway.)



In addition, the loss of FoxO3a activity may participate in oncogenic transformation in B-chronic lymphocytic leukemia and in the progression of chronic myelogenous leukemia cell line.291,292
加えて、FoxO3a活性の喪失が関与する可能性があるのは、B-慢性リンパ性白血病 (CLL) における腫瘍形成の形質転換、ならびに慢性骨髄性白血病 (CML) 細胞系列の進行である。

※oncocytic transformation: 腫瘍細胞形質転換。何らかの原因で細胞の増殖を制御する仕組みが破壊され、正常な細胞が腫瘍性に変換されること

※chronic lymphocytic leukemia (CLL): 慢性リンパ性白血病。成熟リンパ球のクローン性増殖により、末梢血リンパ球が増加する白血病。小リンパ球の形態とB細胞の形質を示し、B細胞抗原のCD19、CD20、Ig、またT細胞抗原のCD5も発現する。慢性の場合は成熟リンパ球だが、急性の場合はリンパ芽球が多数見られる

※chronic myelogenous leukemia (CML): 慢性骨髄性白血病。骨髄の多能性造血幹細胞の染色体が一部融合し、クローン性に増殖するようになった慢性の白血病。染色体の9番と22番長腕の一部とが相互転座した結果、サイズの小さくなった22番染色体 (フィラデルフィア染色体) がCMLの9割以上で見られる。幼若骨髄球から成熟顆粒球まで、様々な成熟段階に進行した白血球が増加する

Furthermore, studies suggest that some proteins, such as the Kaposi's sarcoma-associated herpes virus latent protein LANA2, may specifically block the transcriptional activity of FoxO3a to lead to tumor growth.293
さらに、研究ではいくつかのタンパク質、たとえばカポシ肉腫関連ヘルペスウイルス (KSHV) の潜在性 (latent) タンパク質LANA2のようなタンパク質は、特にFoxO3aの転写活性を妨害し、腫瘍の成長につながることが示唆されている。

※Kaposi's sarcoma: カポシ肉腫。皮膚や粘膜に生じる腫瘍で、AIDS型ではヘルペスウイルスのHHV-8が原因とされる

※LANA2: 293参照。KSHVのLANA2タンパク質には14-3-3結合箇所が5つある。KSHVの他にも、C型肝炎ウイルス (core protein)HIV-1ウイルス (Vpr protein) などのタンパク質が14-3-3タンパク質と相互作用して細胞周期に影響する。
たとえばHIV-1では「VprのC末端酸性ドメイン (C-terminal acidic domain) は14-3-3のC末端領域に結合し、Cdc25Cを核から細胞質に隔離して細胞周期を停止させた (G2/M期)。これはCdc25CのS216のリン酸化には非依存的であった (Cdc25Cのセリン216がリン酸化しなくても細胞質に隔離された)」とある。
VprはさらにBADと相互作用することでアポトーシスシグナルにも影響する可能性がある (The presence of Vpr might influence the association between 14-3-3 and BAD resulting in increased apoptotic signals triggered by Bcl-2.)



In cell models of endometrial cancer, pre-sensitization of cells to block Akt activation and foster transcription activity of FoxO1 enhances the effect of chemotherapy to limit tumor growth.294
子宮内膜癌の細胞モデルでは、Aktの活性化を阻害し、FoxO1の転写活性を促進するように細胞を前もって増感させると、腫瘍の成長を制限する化学療法の効果が高まる。

※endometrial cancer: 子宮内膜癌。子宮体の内膜に発生する癌腫で類内膜癌 (endometrioid endometrial cancer) が93パーセントを占め、大部分がホルモン依存性である。遺伝子変異とエストロゲン長期持続刺激による子宮体内膜の異常増殖に起因する

※sensitization: 敏感にすること (増感)。抗原で免疫すること (感作)



It has recently been recognized that ATRA increased the expression of transcription factor FoxO3a in neuroblastoma cells.9
最近、ATRAは神経芽細胞腫において、FoxO3a転写因子の発現を増加させると認識されるようになっている。

FoxO3a has also been identified as a key regulator for ATRA-induced granulocytic differentiation and apoptosis in acute promyelocytic leukemia.10
FoxO3aは急性前骨髄球性白血病においても、ATRAが誘導する顆粒球の分化とアポトーシスにとって重要な調節因子として確認されている。

※granulocyte: 顆粒球。白血球 (leukocyte) は顆粒球 (granulocyte) と無顆粒球 (agranulocyte) に分けられ、顆粒球はさらに好中球、好酸球、好塩基球に、無顆粒球は単球とリンパ球に区別される

※ATRA-induced apoptosis: 10参照。ATRAは、FoxO3aを核内に局在させ、FoxO3aの標的分子である「腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド (TRAIL)」の発現を転写/タンパク質レベルで増加させ、APL由来NB4細胞にアポトーシスを誘導した。
ATRAに抵抗性のNB4細胞ではFoxO3aもTRAILも誘導されなかったが、活性化FoxO3aを強制発現させるとTRAILとアポトーシスが誘導された






Isotretinoin-mediated FoxO signaling just reverses the proposed growth factor/PI3K/Akt pathway of acne which leads to a nuclear deficiency of FoxO proteins.13
イソトレチノインを介したFoxOシグナルは、にきびの要因として提案される「成長因子/PI3K/Akt」経路をちょうど正反対に入れ替える。
成長因子シグナルはFoxOタンパク質の核内での欠乏につながる。

As most acneigenic stimuli of acne-associated syndromes with increased growth factor-, insulin-, IGF-1- and FGF-signaling converge in the activation of PI3K/Akt, they are more likely to exert nuclear FoxO deficiencies associated with a higher incidence of cancer.295
にきびに関連する症候群では、成長因子シグナル (インスリン、IGF-1、FGFシグナル) が増加している。
最も強くにきびを誘発するそれらの刺激はPI3K/Aktの活性化に集中するため、核のFoxOを不足させる可能性がより高くなり、癌の高い発生と関連する。

Indeed, an epidemiological association between long-lasting acne and prostate carcinoma has been established.296
実際、長続きするにきびと前立腺癌腫との間の疫学的な関連が証明されている。

※epidemiological association: 296参照。テトラサイクリン系の抗生物質を長期にわたって使用していた重症のにきび患者は、前立腺癌のリスクが高かった (RR=1.79, 95% CI: 1.02-3.12)

Chronically upregulated PI3K/Akt signaling might further explain the increased incidence of cancer in patients with other acne-associated diseases like acromegaly,297 polycystic ovary syndrome,298 syndromes with insulin resistance with consecutive hyperinsulinemia, 12 and Apert syndrome with increased FGF-signaling.299-303
慢性的に促進されたPI3K/Aktシグナルは、他のにきびと相関する疾患をもつ患者において癌の発生率が高い理由をさらに説明できるかもしれない。
他の疾患とはたとえば、先端巨大症、多嚢胞性卵巣症候群、インスリン抵抗性症候群 (連続的な高インスリン血症を伴う)、アペール症候群 (FGFシグナルの増加を伴う) などである。

※acromegaly: 先端巨大症。下垂体から成長ホルモン (GH) が過剰に分泌され、巨人症や四肢末端の肥大が起こる。糖尿病、高血圧、大腸ポリープなどを合併することも多い

※polycystic ovary syndrome (PCOS): 多嚢胞性卵巣症候群。多毛、肥満、月経異常、不妊、インスリン抵抗性、卵巣肥大を主徴とする症候群。下垂体からの黄体化ホルモン (LH)/卵胞刺激ホルモン (FSH) の比率の上昇、卵巣からのアンドロゲン分泌の過剰などの内分泌異常が見られる。PCOSの女性は心血管系疾患や乳癌のリスクが高い

※Apert syndrome: アペール症候群。頭蓋の早期癒合 (craniosynostosis)、上顎骨の形成不全、四肢奇形などを特徴とする先天性の異常症候群。線維芽細胞増殖因子受容体2型 (FGFR2) 遺伝子の変異による。
299の研究では、子宮内膜癌患者の約1割のFGFR2にS252Wなどの変異が見られたが、S252Wはアペール症候群の原因でもある。
S252Wの変異は各FGFリガンドとの親和性を2倍から8倍に高め、さらにリガンド結合特異性も変化させる。Y376Cなどの変異はFGFRを互いにジスルフィド結合させて常に二量体化させる

※craniosynostosis: 頭蓋癒合。cranio- 「頭蓋」+ syn 「共に, 同時に, 合成の」+ osteon 「骨」+ -osis 「状態」

In this regard, persistent acne in adulthood should be recognized as a serious clinical indicator of dysbalanced growth factor signaling with reduced levels of nuclear FoxOs, an unfavorable condition which increases mitogenic stimulation and cell survival but reduces apoptosis, well-recognized processes in cancer promotion.267
この点から、大人の持続的なにきびは「成長ホルモンシグナルの均衡が失われている」という重要な臨床的指標として認識されるべきである。
にきびでは核のFoxO濃度は減少しており、細胞分裂の刺激と細胞の生存を増加させ、しかしアポトーシスを減少させるという好ましくない状態である。
これは癌の促進段階としてよく知られている。

※cancer promotion: 癌の過程には、開始 (initiation)、促進 (promotion)、進行 (progression) の三つの段階があるとされる

Together, substantial evidence exists for the anti-cancer activity of FoxO transcription factors.
全体として、FoxO転写因子には癌に対する抗癌作用があるという十分なエビデンスが存在する。

Isotretinoin appears to confer its chemopreventive activity by upregulation of FoxO-controlled target genes inducing apoptosis and cell death.267
イソトレチノインはFoxOにより制御される標的遺伝子の発現を促進させ、アポトーシスと細胞死を誘導することによって、その化学予防的な作用を授けるように思われるのである。

by travelair4000ext | 2013-09-07 15:26 | 翻訳  

<< にきびが必ず治る薬35 にきびが必ず治る薬33 >>